ハンガリーはエネルギー安全保障が最重要課題、中東情勢も影響
(ハンガリー、スロバキア、クロアチア、EU、イラン、ロシア、ウクライナ、中東)
ブダペスト発
2026年03月06日
中東情勢の悪化に伴い、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となり、さらにウクライナ経由のロシア産原油の「ドルジバ・パイプライン」も停止している現在、国際的なエネルギー供給の混乱はハンガリーにとって二重の打撃となっている。
1月27日にロシアが同パイプラインにドローンによる攻撃を行って以降、ウクライナ経由のロシア産原油の供給は停止している。ウクライナのデニス・シュミハリ・エネルギー相はブロディ中継所の内部設備(センサー・変圧器など)の損傷を理由に挙げているが、ハンガリー政府は衛星写真を根拠に「パイプライン自体は損傷していない」と主張している。オルバーン・ビクトル首相は、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領の対応を政治的脅迫と非難し、EUのウクライナ向けローン支援の凍結など対抗措置を継続している。また、ハンガリーとスロバキアは同パイプラインへの独立調査団の派遣を提案したが、ウクライナ側は受け入れていない。
ハンガリーのエネルギー大手MOLのヘルナーディ・ジョルト最高経営責任者(CEO)はATV局(注1)の3月2日のインタビューで、ホルムズ海峡通過は安全でないため世界の原油生産量の7〜8%が滞留しており、軽油価格は既に20%上昇していると指摘し、「先週(2月末)まではドルジバ・パイプライン停止が最大の懸念だったが、今やイラン情勢が新たな不確実性をもたらしている」と語った。
ヘルナーディ氏によれば、ドルジバ・パイプラインの代替として、海上ルートでクロアチアまで運ばれたロシア産原油をアドリア・パイプライン(注2)経由で調達する方法があるが、クロアチア側の政治的判断により拒否されている。ドルジバ・パイプラインの停止に加え、こうした事情からハンガリーは実質的に代替ルートのない状況に置かれている。
オルバーン政権は、イランの報復行動を念頭にテロ警戒レベルを引き上げ、エネルギー安全保障を最優先課題と位置づけた。
欧州政治研究所(注3)のダニエル・ヘゲドゥーシュ副所長は、今回の事態がオルバーン首相にとって、4月12日の総選挙を前に、「国家の守護者」として自らの立場を再確立する機会になり得る、と分析している。
(注1)ハンガリーの民放テレビ局。
(注2)クロアチアのアドリア海沿岸から、内陸のハンガリー、スロバキアへの原油輸送ルート。
(注3)ドイツに拠点を置く独立系の欧州政策研究機関。
(バラジ・ラウラ)
(ハンガリー、スロバキア、クロアチア、EU、イラン、ロシア、ウクライナ、中東)
ビジネス短信 c43b32fdab638378






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