国家エネルギー局がグリーン燃料産業の座談会開催、エネルギー安全保障の観点から位置付け

(中国)

調査部中国北アジア課

2026年03月06日

中国国家エネルギー局は3月3日に専門家およびエネルギー企業を招き、「グリーン燃料産業発展に関する座談会」を開催した。

座談会では、グリーン燃料産業の発展は、(1)石油からの代替を通じたエネルギー安全保障の強化、(2)炭素排出削減とグリーン発展の促進、(3)新エネルギー(非電力用途)の利用拡大および消費促進、といった点に寄与するもので、エネルギー分野における「新たな質の生産力」(注1)を育成する重要な方向性であると指摘した。

また、グリーン燃料産業の発展に関して次の5点を重点方針として掲げた。

  1. システム思考に基づく全体設計・戦略的配置の強化
  2. 試行的取り組みの先行、科学的な産業発展モデルの構築
  3. イノベーション主導による産業競争力の継続的な強化
  4. ビジネス環境の最適化と産業規模拡大の支援
  5. 需要起点の市場形成による、国内外市場の統合的な発展

これに対して、民間シンクタンク(注2)は次のように指摘している。従来、水素関連のグリーン燃料の推進は、主にグリーン成長やカーボンニュートラルの枠組みで語られてきたが、今回の座談会では、グリーン燃料を「石油の代替」として位置付け、エネルギー安全保障の観点から国家戦略レベルで推進する姿勢が初めて示された点が重要であり、今後のグリーン燃料産業を大きく後押しする転換点になるとの見方を示した。

中国のグリーン燃料産業の生産能力はすでに世界最大規模へと成長している。2025年末時点(注3)では、風力・太陽光による水素製造プロジェクトが908件、グリーン水素の年間の生産能力は約1,526万トンに上る。また、グリーンメタノールプロジェクトは247件で生産能力は6,486万トン、グリーンアンモニアプロジェクトは122件で生産能力2,570万トン、SAF(持続可能な航空燃料)プロジェクトは49件で生産能力800万トンと、関連プロジェクトが急速に拡大している。一方で、グリーン燃料は従来の化石燃料より価格が大幅に高く、中国国内での利活用シーンが限られるため、実際に稼働しているプロジェクトは全体の3%未満にとどまっている、と上記シンクタンクは指摘している。

今回の座談会によって、グリーン燃料産業の政策的な位置付けが高まり、市場育成の方向性も明確化された。今後は、生産技術の高度化やコスト低減などの課題を克服していくことで、グリーン燃料による本格的な石油代替やグリーン燃料産業の成長の余地はさらに拡大すると見込まれる。

(注1)イノベーション主導で、従来型の成長モデル・アプローチから脱却し、ハイテク、高効率、高品質を特徴とする先進的な生産力を指す。

(注2)同シンクタンクは香橙会研究院で、中国における水素エネルギー・燃料電池・グリーン燃料分野を専門に研究する中国最大級の民間シンクタンク・データサービス機関だ。

(注3)香橙会研究院の水素データベースによる。

(李莉)

(中国)

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