ハラール日本産和牛のカッティングセミナーを開催
(マレーシア)
クアラルンプール発
2026年03月03日
ジェトロは「マレーシア農林水産物・食品輸出支援プラットフォーム(注)」の取り組みの一環として、2026年1月21日、クアラルンプールのフランチレストラン「Potager」において、和牛カッティングセミナーを開催した。2025年の日本からマレーシアへの牛肉輸出額は24億円を超え、品目別で最大となっている。マレーシアへ牛肉を輸出するにはハラール対応が必要となる。2025年11月には輸出認定施設が1カ所追加され3ヵ所となったことから、今後も輸出の拡大が期待される。
一方、さらなる市場拡大や収益の安定確保に向けては、高級部位とされるロインのみでは限界があり、1頭全体で価値を高める視点が求められている。本セミナーは高級部位以外のセカンダリーカット(非ロイン部位)の活用促進を目的として、レストランシェフなど約45人を招き、開催した。
和牛のセカンダリーカットの紹介(ジェトロ撮影)
今回のセミナーでは、和牛の精肉に45年以上携わってきたプラン・ビーの江口和男氏が、日本式カッティング技術によるセカンダリーカットの活用方法を紹介した。特に、肩ロース周辺に位置するチャックを用いた実演では、部位特性に応じた用途を示し、カット技術が商品価値の向上に直結することを解説した。さらに、1頭全体を有効活用することで、実質的な歩留まりの向上と収益構造の安定化につながる可能性が示された。その後、「Potager」の堀内雅史エグゼクティブシェフが、セカンダリーカットを調理した料理を提供した。共催した現地の肉卸売業者ラッキーフローズンのジェームス・シー事業開発ディレクターは、「和牛は単に輸入・販売するだけでなく、その価値を正しく理解してもらうことが重要だ。日本式カッティング技術の共有を通じて、和牛1頭の魅力を最大限に引き出すという視点が参加者に広がったことに意義がある」と語った。
江口和男氏によるセカンダリーカット技術の解説(ジェトロ撮影)
イベントに参加した5つ星ホテルのシェフや非日系料理レストランのシェフからは、「和牛のさまざまな部位のカッティング技術や、日本の和牛の品質の良さ、セカンダリーカットのおいしさがよくわかった。今後のメニュー開発に生かしたい」などの声が聞かれた。本セミナーは、和牛を「部位」ではなく、「1頭」として捉える視点を共有する機会となった。日本式カッティング技術の広がりが、和牛の新たな価値創出と市場拡大につながることが期待される。
(注)農林水産物・食品輸出支援プラットフォームとは、ジェトロ海外事務所と在外公館などの主導で、現地展開している事業者や現地に進出している国内の食品関連事業者などを現地発の視点で専門的かつ継続的に支援する枠組み。
(前田知秀、トゥンク・アニサ・ナジュワ)
(マレーシア)
ビジネス短信 ac77088db5334673






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