ユヌス前首席顧問が東京で講演、総選挙後初の訪日で

(バングラデシュ、日本)

企画部企画課

2026年03月30日

ジェトロは327日、東京の在日本バングラデシュ大使館で、バングラデシュ暫定政権の首席顧問を務めたムハンマド・ユヌス氏の講演会「バングラデシュの未来への投資」を開催した。同氏の訪日は2月の総選挙を受けて暫定政権から新政権へ体制が変わってから初めてであり、約120人が参加し活発な質疑も行われた。

ユヌス氏はバングラデシュの投資先としての魅力について、「地理的に重要な位置を占めていること」と強調した。海に面しているバングラデシュがネパールやブータン、インド東部などの国・地域と共に成長できると語り、深海港の開発によって東南アジアを経由し積み替えをせずに輸出できるようになれば、製造業のハブになれると述べた。バングラデシュの主要港である南東部チョットグラム(チッタゴン)港は河川港であり、日本が支援して開発する南部マタバリの深海港は2029年に開港を予定している。

また、同氏が興したグラミングループ設立のグラミン大学で海洋研究も行われるとの見通しを示し、日本との協力を望んでいると語った。同大学は、20253月にバングラデシュ政府から設立を承認されている。

ユヌス氏はまた、暫定政権が日本と2月に調印した経済連携協定(EPA)について、国連が定める後発開発途上国(LDC)の卒業を前に、「ドアが開かれた」と述べ、他国との交渉の先鞭(せんべん)をつけたとの見解を示した。講演に先立ちあいさつした日本・バングラデシュ経済委員会の柿木真澄委員長(丸紅会長)は、ユヌス氏が日本とのEPA調印に尽力したと述べた上で、迅速な批准への期待も示した。

ユヌス氏は最後に質疑応答で、2024年の政変時に暫定政権を引き受けた際に掲げた課題として、(1)前政権の人道に対する罪への正義、(2)憲法改正を含めた改革、(3)選挙の実施を挙げ、成果を残して現政権に引き継いだとの意向を示した。また、ソーシャルビジネスの重要性を語り、この分野で日本の企業・団体と協力している現状を説明した。加えて、バングラデシュの豊富な若年人材に対する日本企業の期待がある一方で、言語が壁になっている点については、国が重点分野として支援すべきとの立場を表明した。

写真 質問に回答するユヌス氏(左)(ジェトロ撮影)

質問に回答するユヌス氏(左)(ジェトロ撮影)

(安藤裕二、原悠伸、今野至)

(バングラデシュ、日本)

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