マイアミで未来投資イニシアチブ(FII)が開催、投資・都市・AIの将来像を議論

(サウジアラビア、米国)

リヤド発

2026年03月30日

米国のマイアミで3月25日~3月27日、未来投資イニシアチブ(FII)が開催された。「Capital in Motion(資本の移動)」をテーマに、世界各国の政府関係者や企業経営陣、投資家が集結した。会合では、地政学的・経済的な不確実性が高まる中、短期的な市場変動ではなく、長期かつ忍耐強い資本、協調、戦略的投資こそが繁栄の基盤であるとの認識が共有された。

サウジアラビア公共投資基金(PIF)総裁でFII研究所会長のヤシル・オスマン・アール・ルマイヤン氏は「サウジアラビアのマクロ経済や財政状況は、引き続き強固で、安定し、適応力が高い。四半期ではなく、数十年単位でリターンを測る長期投資家であり、PIFは今後も世界各地の投資にコミットする」と述べた。不確実性が高まるグローバルな環境で、ソブリン投資家(注1)が安定のアンカーとして果たす役割に言及したかたちだ。

都市開発分野では、PIF傘下のニュー・ムラッバ(New Murabba)のマイケル・ダイク最高経営責任者(CEO)が登壇。人間中心型の複合用途都市モデルを軸に、接続性や文化、コミュニティを重視した、首都リヤドの新たなダウンタウン拠点「ニュー・ムラッバ」を紹介した。統合インフラや革新的デザイン、没入型の文化・エンターテインメント体験を通じ、都市生活の再定義を目指す。

3月27日付サウジアラビア国営通信(SPA)によると、イベント期間中、サウジアラビアのヒューメイン(HUMAIN、注2)と米国企業チューリング(Turing、注3)が、グローバルなAIエージェント・マーケットプレイス(第三者が自社商品を販売できるプラットフォーム)を構築するためのパートナーシップを発表。両社は、企業向けAIエージェント・マーケットプレイスを「HUMAIN ONE」上に構築し、人事、財務、法務、調達などの業務別AIエージェントを企業が導入・拡張できる仕組みを提供する。

また、サウジアラビアのAHQ(注4)と米国企業のパテル・ファミリー・オフィス(注5)が、サウジアラビア全土で50のホテルを開発するため、10億ドル規模のホスピタリティ・プラットフォーム「AYARA(アヤラ)」を立ち上げ、ビジネストラベル促進と経済多角化の支援を発表した。

さらに、サウジアラビアのイキサブ(Eksab、注6)とブラジルの投資銀行のBTGパクチュアル(BTG Pactual、注7)が、ラテンアメリカに特化したオルタナティブ投資プラットフォームを創設するための枠組み契約に署名した。

(注1)国家が持つ金融資産を運営する政府系ファンド。

(注2)PIF傘下で設立されたフルスタックAI企業。サウジアラビアの国家戦略に沿い、AIの開発および社会実装を担う。

(注3)米国を拠点とする最先端AI企業。企業向けAIシステムの開発・実装を手がける。

(注4)サウジアラビアの産業コングロマリット企業。エネルギー、製造業、インフラ、物流、ホスピタリティなど幅広い分野で事業を展開。

(注5)民間の資産運用・投資組織(ファミリーオフィス)で、不動産、ホスピタリティ、インフラなど長期の実物資産投資を手がける米国企業。

(注6)サウジアラビアの投資会社。プライベート・エクイティやプライベート・クレジットなどのオルタナティブ投資を軸に、海外市場との投資連携を推進。

(注7)ブラジル最大級の独立系投資銀行。ラテンアメリカに強いネットワークと高い投資実行力を有する。

(林憲忠)

(サウジアラビア、米国)

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