フィンランド商工会議所、産業・エネルギー調査報告書を公表

(フィンランド)

ロンドン発

2026年03月31日

フィンランド商工会議所とインフラ分野のエンジニアリング会社のデスティアは3月13日、共同で「フィンランドの産業とエネルギー需要-成長見通しの確保外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(フィンランド語)を公表した。同報告書は「エネルギー転換は新たな産業創出と経済成長を可能にする」と分析する一方、「その実現には予測可能なエネルギー・産業政策と、将来を見据えた電力網整備が不可欠」と指摘した。

報告書によると、フィンランドはスウェーデン北部やノルウェーの水力・風力発電の恩恵を受けるとともに、自国の再生可能エネルギー発電量も多く、卸売電力価格(2025年)は1メガワット時当たり40ユーロと、EU加盟国の中でも最低水準にある。陸上風力の拡大余地も大きく、国内の南北を結ぶ送電網も整備されているほか、今後10年間で40億ユーロの送電網投資が計画されている。

エネルギー転換による経済的付加価値は、バリューチェーン全体でみると、上流のエネルギー生産・貯蔵・送電(風力発電所など)では年間数百万ユーロ規模であるのに対し、エネルギーを利用する下流分野の方が大きいと見込まれる。具体的には、データセンターなどが数千万~数億ユーロ、高付加価値産業(デジタルサービス、合成燃料・バイオ製品、高度製造・素材産業など)は数十億ユーロ規模と推計される。

フィンランドでは現在、数千億ユーロ規模のエネルギー・産業投資が計画されているが、エネルギー転換をめぐる政治的合意の不足、規制の不確実性、電力需給の不均衡、エネルギー分野の人材不足などがボトルネックとして指摘されている。これらの課題への対応として、1.送配電網の先行的な整備、2.許認可プロセスの円滑化、3.エネルギーシステム全体の需給バランス確保、4.国内産業バリューチェーンの強化(高付加価値投資の誘致など)の4点が必要とされる。

(森詩織、バリオ純枝、半井麻美)

(フィンランド)

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