米主要港、1月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比3.8%増、中東情勢の混乱長期化に懸念

(米国、イラン)

ニューヨーク発

2026年03月12日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(3月9日)」によると、2026年1月の米国小売業者向けの主要輸入港(注1)の輸入コンテナ量は、前月比3.8%増、前年同月比6.4%減の208万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった(注2)。

今後の見通しでは、2月は前年同月比1.3%減の201万TEU、3月は11.2%減の191万TEU、4月は8.1%減の203万TEUと、春先にかけて低調に推移する見込みを維持した。一方で、5~6月はそれぞれ7%増、6.8%増とプラスに転じる見通しだが、これは2025年4月の「リベレーション・デー(解放の日、2025年4月3日記事参照)」の相互関税導入前の駆け込み輸入の増加と、相互関税導入後の輸入量の急落を反映したもので、いずれも反動要因が大きく寄与している。これらを総合すると、2026年上半期の総貨物量は前年同期比2.5%減の1,221万TEUにとどまり、輸入の基調は幾分弱めで推移する見通しだ。

なお、中東情勢の影響について、ハケット・アソシエイツの創設者ベン・ハケット氏は、「米国輸入貨物のうち中東起点の割合が低いことから、米国のコンテナ貿易への直接的な影響は限定的」との見方を示した。一方で、「月次データで測定するには時期尚早だが、紛争が長引けば、石油やガソリン価格の上昇は必然的に構造的なインフレを招く。結果として、個人の自由裁量支出や米国の製造業を圧迫し、長期的には最終的に輸入量を押し下げる可能性がある」と指摘した。

イランやホルムズ海峡の情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高騰は今後、米国の家計を直撃する可能性がある。全米自動車協会(AAA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、3月11日時点の全米平均ガソリン価格は1ガロン(約3.8リットル)当たり3.578ドルで、紛争発生後から約2割上昇している。今後、エネルギー価格の上昇は航空運賃などのサービス価格にも波及が考えられる。これに加え、ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、天然ガス由来の窒素の供給が減少し、世界的な肥料価格の上昇を招く恐れがある。この結果、米国の農産物の減産や農産品への価格転嫁などにより、食料品価格が上昇する可能性もある(「ニューヨーク・タイムズ」紙3月9日)。JPモルガンは、こうしたさまざまな要因により、1月に2.4%だったインフレ率は今後数カ月で3%台に達する可能性もあると試算している。

(注1)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。ただし、今回の集計にニューヨーク/ニュージャージー港とマイアミ港のデータは反映されていない。

(注2)発表されている貨物量のTEUと前年同月比の数値は端数処理の関係で一致しない場合がある。

(樫葉さくら)

(米国、イラン)

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