拡大する宇宙産業に貢献、ポーランドの衛星用光学機器製造スキャンウェイに聞く
(ポーランド)
ワルシャワ発
2026年03月27日
スキャンウェイ(SCANWAY)
は、衛星ミッション向けの高性能光学ペイロードやカメラシステムの開発を専門とする、ポーランドの宇宙技術企業だ。同社に事業の概要や今後の展望を聞いた(取材日:2026年2月25日)。
同社は画像取得から処理・分析に至るまで、光学データチェーン全体を支えるハードウエアとソフトウエアを設計している。ポートフォリオには、地球観測ミッション、深宇宙(注1)探査で使用される宇宙カメラ、光学望遠鏡、画像処理技術が含まれる。実際に現在、軌道上で11基が稼働しているという実績が大きな強みだ。
同社は、国家宇宙プログラムであるSZAFIRプログラム(注2)の一環として開発されたPIASTミッションにも参加。同ミッションは、先進的な地球観測および宇宙状況把握を目的としたポーランドのナノサテライト群で構成され、陸軍工科大学(WAT)やポーランド科学アカデミー宇宙研究センター(CBK PAN)など、ポーランドの主要研究機関と協力して実施されている。
さらに、欧州宇宙機関(ESA)が支援するSEMOViSプロジェクト(注3)の枠組みで、450ミリメートル(mm)ミラーを備え、高度500キロメートル(km)から地上分解能(GSD、注4)0.8メートル(m)を実現する、次世代の超高分解能光学ペイロードSOP450望遠鏡を開発している。
同社の技術は深宇宙ミッションでも活用されている。ESAと協力し、月面の地形をマッピングし微細構造を解析するために設計されたSOP300フォトメトリックイメージングシステムを提供するMániミッションにも取り組んでいる。
同社製品Scanway Optical Payload(SOP)(スキャンウェイ提供)
本社は、ポーランドの都市ブロツワフにある。ブロツワフは、IT技術や電動モビリティなどの先進産業の拠点として知られている。レグニツァおよびワウブジフ経済特区からの支援も受けられる環境にあり、企業の成長を後押しする体制が整っている。
この利点を生かしつつ、ブロツワフ工科大学、WAT、CBK PANなどと密接に連携している。また、研究開発活動において、ESAおよびポーランド国防省のプログラムの支援を受けている。
同社は、光学ペイロード、衛星イメージング技術、将来の宇宙ミッション向けデータ処理システムなどの分野で、日本のパートナーとの協力に高い関心を示している。
(注1)地球から遠く離れた宇宙を指す言葉で、国際電気通信連合(ITU)や日本の総務省は「地球からの距離が200万km以上である宇宙」と定義している。
(注2)正式名称は、「国家の安全保障・防衛のための革新的で先端的な技術開発プログラム」。ポーランド国立研究開発センター(NCBR)が運営する、防衛・安全保障分野のハイテク開発プログラム。
(注3)ESAによる、超高分解能(VHR)光学ペイロード開発プロジェクト。欧州独自の地球観測能力を確立することを目的とする。
(注4)地上分解能とは、1ピクセルの画素が何mに相当する物体を検出しているか、ということを表す指標。分解能が小さいほど、より細かい物体まで識別可能。GSDはGround sample distanceの略。
(遠山宗督、峯裕一朗)
(ポーランド)
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