メキシコ政府、USMCA見直しに関する公聴会結果を発表
(メキシコ、米国、カナダ)
メキシコ発
2026年03月17日
メキシコ経済省は3月9日付のプレスリリース
で「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)見直しのための公聴会の結果」を発表した。同レポートでは32州や30のセクター(注)との協議、および企業・商工会議所・業界団体などから提出された573件のパブリックコメントの回答をとりまとめた。
北米経済圏について、3カ国は単一の統合された市場および生産システムとして機能し、同時に高度に相互依存的な貿易関係であり、USMCAによって強化されているとの見方を示した。また、メキシコの対米輸出の相当な割合が米国で生産された原材料・部品を含んでおり、中国やベトナムの対米貿易関係とは対照的だとした。その理由として、地理的な近接性により1~3日の納期が実現可能で、他国では難しいジャストインタイム生産方式を実現していることを挙げた。その結果、北米3カ国間の2024年の財・サービスの取引額は、1日当たり約25億6,200万ドルに達しているとした。パブコメ回答者向けのアンケートでも、8割以上が、USMCAは「プラスの影響」を与えたと評価しているとのデータも紹介した。
USMCA見直しに関しては、現行の規定は実質的に変更せず、運用の改善に焦点を当てるべきとの意見があったことを紹介し、優先事項として次の点を示した。
- 現行の原産地規則の維持
- 紛争解決メカニズムの効果的な機能の確保
- 域内市場への自由なアクセスの維持
- 第三国に対する3カ国の競争力強化
原産地規則については、過度に厳格な規制はボトルネックを生み、コストを押し上げ、域内サプライチェーンに影響を与えるとし、原産地規則の厳格化に慎重な姿勢を示した。一方で、原産地規則の順守は全ての国で保証される必要があるとも主張した。
紛争解決メカニズムでは、特に「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」に言及した。RRMは2026年2月時点で45件が実施されているが、メキシコのみに適用されており、メキシコに不利益をもたらすかたちで非対称であるとの意見を紹介した。また、メキシコでの生産に直接的な影響を与えているものとして、米国の1962年通商拡大法232条に基づく追加関税や特定産品へのアンチダンピング税などの措置を挙げ、不均衡が生じているとした。
メキシコ政府のUSMCA見直しにおける立場として、北米を統合し、競争力のある生産プラットフォームとして強化するべきであり、3カ国の成長・雇用・回復力をもたらしてきた生産ネットワークを分断するような決定は避けるべきであると強調した。
(注)30のセクターは次のとおり。1.鉄鋼・アルミニウム、2.航空宇宙・航空、3.農業、4.農業関連産業、5.自動車部品・タイヤ、6.飲料・加工食品、7.セメント、ガラス、セラミック、8.循環型経済、9.社会経済、10.電子機器、11.エネルギー – 炭化水素および電力、12.製薬、医療機器、化粧品、13.畜産、畜産チェーン、漁業、14.不動産・建設、15.クリエーティブ産業、16.乳製品および乳製品加工品、17.物流、18.電気機器製造業、19.鉱業、20.家具・紙製品、21.プラスチック・玩具、22.金属製品、金属加工、派生製品、23.化学、24.金融サービス、25.専門・ビジネスサービス、26.繊維、靴、衣類、27.情報通信技術、28.観光、29.乗用車、30.大型車
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国、カナダ)
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