イラン・中東情勢はオーストリア経済にも影響の可能性
(オーストリア、イラン)
ウィーン発
2026年03月05日
米国とイスラエルによるイランへの攻撃(2026年3月2日記事参照)などに伴う中東情勢は、オーストリア経済にも悪影響を及ぼす可能性がある。
オーストリア経済研究所(WIFO)のガブリエル・フェルバマイヤー所長によれば、原油価格が1バレル当たり10ドル上昇すると、オーストリアのGDP成長率は0.1ポイント低下する。30ドルの上昇であれば、GDPは0.3%(約15億ユーロ相当)減少すると見込まれる(「デア・スタンダード」紙3月1日)。長引く景気後退から持ち直しつつあるオーストリア経済にとっては、大きな打撃となる。
イランへの軍事行動が長期化した場合、消費者物価上昇率も再び大幅に上昇する可能性がある(「デア・スタンダード」紙3月1日)。ロシアのウクライナ侵攻後、主にエネルギー価格高騰の影響で11.2%まで急騰したインフレ率は、2026年1月にようやく2%まで低下し、2月には2.2%となった。しかし、エネルギー価格はすでに再び上昇傾向にあり、給油所におけるガソリン価格は3月2日以降、大きく値上がりしている。
もっとも、オーストリアの石油供給への直接的な影響は限定的とみられる。オーストリアはイランから原油を輸入しておらず、ホルムズ海峡も同国にとって主要な供給ルートではない。ウォルフガング・ハットマンスドルファー経済・エネルギー相によれば、オーストリアは懸念すべき事態になく、備蓄量265万トンによって90日分の供給は確保されているという。
中期的には、ガス価格急騰への懸念が残る。欧州のガス価格は今週すでに75%上昇し、数年ぶりの高値となっている(「デア・スタンダード」紙3月3日)。しかし、2022年にみられたような、1メガワット時(MWh)当たり300ユーロという価格のピークよりはまだ低い水準とされる(「ディープレッセ」紙3月4日)。とはいえ、欧州電力市場が採用しているメリットオーダー方式により、ガス価格の変動は電力価格にも直接影響を与える可能性がある(「デア・スタンダード」紙3月4日)。
イランで政治的変革が起きた場合のオーストリア経済への影響
一方、ウィーン比較経済研究所(WIIW)が3月2日に発表した研究レポートによると、イランで抜本的な政治的変革が起き、国際経済への再統合が進む場合、オーストリアに経済的利益をもたらす可能性があるという。オーストリアの産業構造(機械、インフラ建設、環境技術など)がイランの需要と合致し、さらに医薬品・医療機器のイランへの輸出の歴史的実績もあることから、イランの国際経済への再統合によってオーストリアのGDPが0.5%増加する可能性が指摘されている。
(エッカート・デアシュミット)
(オーストリア、イラン)
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