米宇宙産業で資金調達が活発化、バストとシエラスペースが新規大型ラウンド開始
(米国)
サンフランシスコ発
2026年03月11日
米国で宇宙開発事業を行うバスト(VAST、本社:カリフォルニア州ロングビーチ)とシエラスペース(本社:コロラド州ルイビル)の2社が3月5日、それぞれ5億ドル規模の大型資金調達を相次いで発表した。
バストは、シリーズA(注1)で株式発行による3億ドルを含む5億ドルを調達
。バレリオン・スペース・ベンチャーズが主導し、米国のベンチャーキャピタル(VC)のIn-Q-Tel(IQT)、カタール投資庁(QIA)のほか、日本から三井物産、三菱UFJフィナンシャルグループ、ニコンなどが参加した。
バストは商業宇宙ステーションのヘイブン(Haven)を開発しており、米国航空宇宙局(NASA)が主導する民間商業宇宙ステーション開発運用プログラムの「CLDプログラム」の第2契約フェーズ(注2)への応募を表明している。同社は、直近で2025年11月にヘイブン・デモを打ち上げ、2026年2月にすべてのミッションが成功し、技術的実証段階を終えた。2027年のヘイブン1打ち上げに向け、NASAから2026年2月に受注した民間宇宙飛行士派遣ミッションの実施
や生命維持システムの試験などを経て、各種システムの統合に向けた段階に入っている。
また、シエラスペースもシリーズCで5億5,000万ドルの資金調達を発表
した。VCのルミナークスキャピタルが主導し、ジェネラルアトランティック、コートゥーなどの既存投資家も参加、企業評価額は80億ドルに達した。同社は、米国宇宙開発局(SDA)のミサイル警戒・追跡コンステレーションを含む防衛プログラムと、再使用型スペースプレーン(注3)であるドリームチェイサーのデモ飛行への移行を加速する。また、同社は航空宇宙用ロケットなどを開発する米国のブルーオリジンと共同で、商業宇宙ステーション「オービタル・リーフ(Orbital Reef)」を開発しており、CLDフェーズ1においてNASAから資金提供を受けている。
米国の宇宙関係スタートアップでは、2月にストークスペースがシリーズDを8億6,000万ドルへ拡大
し、アクシオムスペースも3億5,000万ドルの調達を発表
した。バスト、シエラスペースはこれに続く大型調達となった。各社で、機体統合や量産準備の工程が進展し、商業宇宙ステーションや国家安全保障向けインフラの開発が並行して進んでいる。
(注1)投資家が企業に投資する段階で、シードステージから今後の成長が見込まれる段階の最初の本格的投資ラウンドを「シリーズA」とし、追加出資の都度「B」「C」とアルファベット順で表現される。
(注2)Commercial LEO(Low Earth Orbit)Developmentの略。NASAが国際宇宙ステーション(ISS)退役後に利用する商業宇宙ステーションを民間企業から調達するための契約フェーズ。フェーズ1は初期開発、実証試験段階。フェーズ2は本契約先を選定する段階。
(注3)滑走路着陸が可能かつ、再利用可能な宇宙往還機。
(芦崎暢)
(米国)
ビジネス短信 74e6d662119643a6






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