ミュンヘン安全保障会議、「破壊の最中」の時代に欧州の強靭性を問う

(ドイツ、欧州、米国、ロシア、中国)

デュッセルドルフ発

2026年03月12日

「第62回ミュンヘン安全保障会議(MSC)」が2月13~15日、ドイツ・ミュンヘンで開催された。同会議には過去最多の1,000人以上が参加し、日本や、ドイツ、フランス、米国などを含むNATO加盟国をはじめ115以上の国・地域から約60人の国家元首や閣僚、50人以上の国際機関の代表者などが出席、外交政策や安全保障の現況などについての議論が行われた。

主催者ミュンヘン安全保障会議ファンデーションがMSCに合わせて発行する「安全保障報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の今回のタイトルは「破壊の最中で(Under Destruction)」と題された。米国による「破壊的政治」(注)と自国第一主義により、1945年以降続いてきた米国主導の国際秩序は崩壊の危機に瀕(ひん)しているとし、欧州ではロシアの軍事的脅威の高まりから、インド太平洋地域では中国の影響力拡大から、各国は自国の安全の強化を迫られている状況だと分析した。通商面では保護主義的な動きが加速するなか、それに対抗して新たな自由貿易協定(FTA)の交渉を進めるなどルールに基づく秩序を維持しようとする国々の間では協力も生まれている。しかし、安全保障を他国に依存した状態では不当な通商要求に対抗できないため、既存の秩序を擁護する国々は自らを強化し、互いに結束してより強固なシステムを再構築する必要があるとした。

フリードリヒ・メルツ首相は開幕日のスピーチで、「外交上の緊張感が高まる国際情勢の中で、欧州は自らの価値を守り、自由を確保し、さらには自らの強みを強化しなければならない」と力説した。また、ボリス・ピストリウス国防相は「欧州は強力な経済圏であるだけでなく、軍事的な強靭(きょうじん)性を高める必要がある」とした上で、「欧州が軍事力を強化しより大きな責任を負うことが、欧州のレジリエンスの強化の鍵となる」と述べた。

(注)直訳は「レッキング・ボールの政治(Wrecking-ball politics)」。レッキング・ボールとは、建造物解体に用いられる巨大な鉄球の意味。

(マリナ・プタキドウ、櫻澤健吾)

(ドイツ、欧州、米国、ロシア、中国)

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