広島・愛媛に海外VC4社を招聘、地方のスタートアップエコシステム基盤強化に向けて議論
(日本、スイス、フランス、シンガポール)
広島発
2026年03月25日
ジェトロと中国経済産業局は、2月24~27日に海外のベンチャー・キャピタル(VC)などを広島県および愛媛県に招聘(しょうへい)し、地方発スタートアップの国内外市場における成長の可能性をアピールした。中国・四国地域における、海洋環境の保全と経済発展を同時に目指すブルーエコノミーやバイオ関連エコシステム、インパクトスタートアップ企業(注1)に関心を寄せるスイスのBeyond Impact Advisors、シンガポールのNew Energy Nexus VenturesおよびAsian Venture Philanthropy Network、フランスのPhitrust SAPOの計4社を招聘した(詳細は添付資料表参照)。
招聘企業は、広島市および松山市で開催された「J-Startup WEST」の新規採択記念式典に参加した。同式典は、経済産業省が中国・四国地域で推進するスタートアップ成長促進・エコシステム拡大のためのプログラムの一環として開催し、中国地域7社、四国地域6社が採択
された。招聘企業は、「科学と金融による未来創造イニシアティブ」によるパネルディスカッションに登壇し、地方エコシステム基盤の強化方法、スタートアップへの投資において重視する点、資金面以外での支援などについて意見を交わした。また、同地域のスタートアップや自治体などの支援機関との交流を深めたほか、中国地域のJ-Startup WEST採択企業を中心としたスタートアップ企業6社と個別面談を行った。招聘企業は、同式典に合わせて松山市で開催された中国・四国地銀系VCサミットのパネルディスカッションにも登壇し、海外投資家の視点から地方スタートアップに対するポテンシャル(高度な技術や社会課題に対するアプローチ)や課題(ピッチの構成、ビジネス視点の弱さ)について見解を示した。ジェトロと中国経済産業局は、ひろしまバイオDXコミュニティ(注2)と連携して広島大学フェニックス国際センターにおいて大学生や研究者、東広島市周辺自治体を含む支援機関などを対象としたセミナーも実施した。また、招聘期間中は、呉市・広島大学Town & Gown構想(注3)の拠点である広島大学海洋・海事未来研究所(呉市宝町)、広島大学発バイオベンチャーでアレルギー低減卵の社会実装を目指すプラチナバイオ(東広島)、訪問看護サービス・高齢者向けのヘルスケアサービス・ヘルスツーリズムを軸に活動するNurse and Craft(大崎下島)を訪問し、広島域内スタートアップエコシステムへの理解の深化を図る機会を設けた。
招聘VCは「中国・四国地域には多様な産業かつ高いものづくり技術を有する企業が多く存在し産業基盤は強い。一方で、スタートアップ個社レベルでは、ボトルネックの特定や他社との差別化が甘く、向上の余地がある。また、地域全体でスタートアップを育てる体制を築き、地方のスタートアップが大都市圏の国内VCからも注目されるようになることが重要だ」と述べた。招聘VCと個別面談を行った日本企業からは「インパクトレポート(注4)を早めに整備すべきだと感じた。海外VCから率直な評価を得られたことは大きい」とコメントがあった。
パネルディスカッション登壇の様子(ともにジェトロ撮影)
個別面談・交流会の様子(ともにジェトロ撮影)
海洋・海事未来研究所・Nurse and Craft訪問の様子(ともにジェトロ撮影)
(注1)利益追求だけではなく、社会課題の解決と持続可能な社会の両輪で社会的なインパクトの最大化を目的とするスタートアップ。
(注2)広島県や東広島市、広島大学とともに、ゲノム編集とバイオインフォマティクスを統合した「バイオDX」技術を柱とし、産学共創拠点を形成するとともに、社会課題の解決などへの貢献を目指すイノベーション創出を目的としたコミュニティー。
(注3)大学と自治体が将来ビジョンを共有し、継続的に連携する取り組み。両者の教育・研究資源を組み合わせ、地域課題の解決や科学技術イノベーションの社会実装、人材育成につなげることを目指す。これにより、地域の発展と大学の成長を同時に実現することを目指している。
(注4)企業や団体が、活動を通じて社会や環境に与える実質的な影響を数値や事例を基に示す報告書。
(宮崎真里佳、小林裕也)
(日本、スイス、フランス、シンガポール)
ビジネス短信 6e7fd1262a140d81






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