都市ガスや輸送機器向けなど特定分野に天然ガスを優先供給、LPGは供給遅延も

(インド、中東)

ニューデリー発

2026年03月13日

インドの石油・天然ガス省は3月9日、昨今の中東情勢により液化天然ガス(LNG)の輸入に混乱が生じていることを受け、特定分野に対して天然ガスを優先的に供給することを目的とした「天然ガス(供給規制)命令2026PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を通達、即日施行した。

優先的に供給される分野は、重要度を考慮して1~4に分類された。詳細は次のとおり。

  • 分野1:家庭用都市ガス(PNG)、輸送機器用圧縮天然ガス(CNG)、液化石油ガス(LPG)生産などが指定。同分野に対して、過去6カ月平均消費量の100%を満たす供給量を維持するよう命じた。
  • 分野2:肥料工場向けの天然ガス供給について、過去6カ月平均消費量の70%を満たす供給量の確保を命じた。併せて、肥料製造以外の目的への転用を禁じた。
  • 分野3:全国のパイプライン網を通じて供給される製造業、茶産業などの産業消費者が対象。ガス販売事業者に対し、同産業向けに過去6カ月間の平均消費量の80%を満たす供給量の維持を命じた。
  • 分野4:都市ガス事業者(CGD)に対して、自社ネットワークを通じた工業・商業部門の事業者へのガス供給について、過去6カ月間の平均消費量の80%を満たす供給量を確保することを命じた。

また、上記の優先分野への供給確保のため、石油化学工場、火力発電施設の順で天然ガスの供給を削減することを命じた。

他方、調理用燃料として広く使用されているLPGの供給については、すでに市民生活に影響が出始めている。LPGはインド国内でも原油の精製により生産されているものの、供給量の約3分の2は中東地域などからの輸入で賄われている。インド国内各地でホテル、レストランや小規模飲食事業者向けのLPGガスボンベの供給が滞っており、一部店舗は休業に追い込まれている、と報じられている(3月11日「タイムズ・オブ・インディア」紙など)。ニューデリー市内の日本食レストランからも、「LPGガスボンベの価格が急騰しており、供給数量も限られている状況。急きょ、電気調理器具での代用を開始した」との声があがっている(ヒアリング日:3月11日)。

(丸山春花)

(インド、中東)

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