開業に向け工事進むマニラ地下鉄工事現場を視察
(フィリピン)
マニラ発
2026年03月02日
ジェトロはフィリピン日本商工会議所サービス運輸部会とともに2月5日、清水建設の協力のもと、フィリピン初の地下鉄となるマニラ首都圏地下鉄の工事現場を視察した。
建設中のトンネル内に向かう視察団(ジェトロ撮影)
マニラ首都圏地下鉄の開発プロジェクトは、日本の円借款(有償資金協力)により進められている。本プロジェクトには、車両基地および鉄道学校の設置、電気・信号・通信などの鉄道システム整備、ならびに240両の車両調達が含まれる。最終的には、マニラ北部のミンダナオ通りと、ニノイ・アキノ国際空港が位置する南部ウエスタンビクタンを結ぶ全長33.1キロの路線に17駅を設置する計画だ。地下鉄の整備は、ASEAN域内の首都では6カ国目となる。国際協力機構(JICA)によると、定量的効果を測定するため、事業完成(注1)から2年後に、1日当たり468万人キロ(注2)の輸送を達成することを目標としている。
今回視察したのは、マニラ市北部に位置し、マニラ首都圏を南北に走る鉄道MRTの西側において、イーストバレンズエラ駅からノースアベニュー駅までと並行する全長約7.3キロの区間で、先行開業が予定される区間(CP101工区)だ。本区間の工事は、日本の清水建設、フジタ、竹中土木、地場大手建設会社EEIの4社によるジョイントベンチャーが請負、日本からシールド機を搬入するなど、日本のさまざまな地下鉄敷設技術が活用されている。
地下鉄が通るトンネルから駅の建設現場を見たところ(ジェトロ撮影)
フィリピンでは、マニラ首都圏への人口集中と過密化が課題となっている。アジア開発銀行(ADB)のレポートによれば、大量輸送手段としての公共交通の整備の遅れにより交通渋滞が深刻化し、物流や人々の移動に大きな影響を及ぼしている。さらに、交通インフラの改善は、投資環境の向上や経済成長の促進に向けた重要な要素と指摘されている。
現地での説明によると、ノースアベニュー駅は、東京メトロ(東京地下鉄)の日本橋駅と同規模の大きさで、日本橋駅と同程度の乗降者に対応できる設計となっている。地下1階部分には商店街が開設予定で、日本の小売店舗やレストランの出店が期待されている。本地下鉄の開通により、人口増加と中間所得層の購買力向上が著しいマニラ中心部において、市場としての魅力がますます高まることが見込まれる。さらに、公共交通機関の充実が進むことで、交通渋滞の緩和や大気汚染対策への寄与も期待される。
線路設置予定場所を歩く様子(ジェトロ撮影)
(注1)JICAの事業事前評価表によると、2029年11月施設供用開始をもって事業完成とされている。
(注2)輸送した旅客に各旅客が乗車した距離を乗じたものの累積を指す「輸送人キロ」という指標。交通機関の輸送の規模を示すことができる。
(後藤崇、フェリシア・インペリオ)
(フィリピン)
ビジネス短信 6854b465169feb7a






閉じる