チリでカスト新大統領が就任、治安・経済・教育を最優先に掲げる
(チリ)
サンティアゴ発
2026年03月13日
チリ中部バルパライソ市の国会議事堂で3月11日大統領就任式が行われ、右派・共和党のホセ・アントニオ・カスト氏が新大統領に就任した。式典には各国首脳・要人に加え、ノーベル平和賞受賞者でベネズエラ野党指導者のマリア・コリナ・マチャド氏が出席したほか、日本からは日本チリ友好議員連盟会長である松島みどり内閣総理大臣補佐官が出席した。
就任後、カスト大統領はサンティアゴの大統領府ラ・モネダ宮殿前で初演説を行い、チリの現状を「想像以上に悪い状態」と評価。「非常事態政府」として即時かつ強力な政策対応が必要との認識を示している。その上で、新政権の最優先事項として治安、経済、教育を掲げ、「チリが立ち上がれば、誰も止められない」「私はチリ国民のために働くために選挙に勝利したのであり、その仕事は今日から始まる」と国民に語った。
演説では最優先事項について主に次のように述べた。
- 治安対策:組織犯罪や麻薬密売を「国家の真の敵」と定義し、警察や軍への全面支援、厳格な国境管理の実施を強調。不法移民対策として、必要に応じて国境への物理的障壁の設置にも言及した。
- 経済:弱体化した財政の立て直し、中間層や貧困層支援の強化を明言。「経済成長が弱者に波及しなければ意味がない」と述べた。また、行政の透明性向上、腐敗の一掃に向け全省庁監査の実施を指示した。
- 教育:未来世代への投資を国家再建の柱と位置付け、公教育の質の向上と学校の安全強化を重視。就任初日にサンティアゴ首都圏ニュニョア区の公立高校を訪問し、「若者こそ国の希望であり、教育はチリの再建に不可欠」との姿勢を示した。
カスト大統領は就任当日、複数の大統領令へ署名した。これらには、チリ北部国境における治安緊急事態への対応、不法移民対策の強化、全省庁を対象とした監査の実施などが含まれており、チリの現状を深刻な危機としてカスト大統領が掲げる「非常事態政府」の方針を即時に具体化する措置となった。
現在、議会では上院、下院ともに右派が優勢だが、今後、治安・経済・教育の各分野で迅速な政策運営を行うには、右派内の各党派間の調整が鍵となる。
(橋爪優太)
(チリ)
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