発展するブルガリアのAIとスタートアップ、イノベーションハブに聞く

(ブルガリア)

調査部国際経済課

2026年03月12日

ブルガリアはEUが指定するAIファクトリーの設置国の1つだ(2025年7月18日記事参照)。ジェトロは2月24日、AIファクトリーの中心となるソフィア・テックパーク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます取締役兼最高経営責任者(CEO)のマルティン・ダノフスキー氏と革新・成長省チーフエキスパートのゲオルギ・コセフ氏に、人工知能(AI)やスタートアップを中心としたブルガリアのエコシステムについて聞いた。

ソフィア・テックパークは2015年に設立された科学・研究施設で、国内のスタートアップやインキュベーター、アクセラレーター、研究機関などエコシステムの主要プレーヤーのハブとして機能している。パーク内には研究者向けのラボのほか、欧州高性能コンピューティング共同事業(EuroHPC JU)にも接続するスーパーコンピュータ「Discoverer外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が立地している。AIファクトリー政策の一環で、Discovererは、コンピュータサイエンス・人工知能・技術研究所(INSAIT)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと連携してアップグレードされる予定で、2026年半ばからの建設を目指している。そのほか、パーク内には防衛およびデュアルユース産業に関連する企業の集積に向けたイノベーションセンターも立地している。

国内スタートアップに対する主要な支援策として両氏は「ファンドマネージャー・オブ・フィナンシャルインストルメント・オブ・ブルガリア(FMFIB外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を挙げる。これはEUとブルガリア政府が連携し、国有企業FMFIBを通じてスタートアップに資金を供給する枠組みだ。公共調達を通じて選定された国内のベンチャーキャピタルに対して資金を供給し、特定分野・規模の企業への投資を促進する施策だ。対象としてはデジタル化やディープテックが中心だが、宇宙やデュアルユースも対象となっているほか、直近では技術移転も対象に追加、研究の商用化を支援している。技術移転に関しては、ソフィア・テックパークをハブとした国内の大学ネットワークの構築に取り組んでいる。

産業の課題としてダノフスキー氏は特にAIについて、データの質や規模、管理を挙げる。国内には大規模なデータを取り扱う民間企業がいないことから、教育、保健、エネルギー、運輸などの部門から生まれるデータの整備に、公的機関が注目していると続けた。他方、ブルガリアの強みとしては、人材に加えてデジタルコネクティビティーを挙げ、現在進行中のアジア・欧州を結ぶ海底通信ケーブルプロジェクト「カルデサ(Kardesa)(政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」にも触れた。

(山田恭之、峯裕一朗、太田響子)

(ブルガリア)

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