カンボジア、2025年は中国からの投資が加速

(カンボジア)

プノンペン発

2026年03月18日

ジェトロは、海外からの直接投資を所管するカンボジア開発評議会から個別に入手した情報を基に集計した(3月13日時点)ところ、適格投資案件(QIP:Qualified Investment Project)認可ベースによる2025年の海外直接投資額は、総額で前年比21.2%増の約55億2,000万ドルとなり、過去最高を記録した(添付資料表参照)。

国・地域別では、中国からの投資額が約46億ドルと最大で、前年比35.4%増となった。中国からの投資は全体の83.3%を占め、前年の74.6%から8.7ポイント上昇した。また、投資件数は478件と前年比で177件増加した。米中貿易摩擦・経済対立の常態化と米国の関税政策に加え、中国国内における人件費など製造コストの高騰により、中国からの投資が加速しているものとみられる。

次いで、シンガポールが約5億7,000万ドル(全体シェアの10.4%)、英国領バージン諸島が約8,000万ドル(1.4%)と続く。日本からの投資額は約640万ドル(0.1%)で、硬式野球ボール製造工場への投資を行うミズノなど3件に限られ、全体として、近年の推移と同様、低水準にとどまっている。

投資分野別では、衣料品、履物、かばん類などの縫製業を中心に、日用品、包装材、家具、家電といった労働集約的な軽工業が投資先セグメントとなっている。一方、これら以外で特徴的な投資として、中国EV(電気自動車)大手ブランドが同年にQIPを取得し、SKD方式による組立工場を立ち上げた。また、近年、装置産業であるタイヤ製造業への投資も、中国ブランドを中心に複数進出しており、2025年も2件の新規投資がQIPとして認可されている。

カンボジアは長期国家成長戦略において、2050年までに高所得国入りを目指しており、そのための成長エンジンとして海外からの直接投資を積極的に誘致している。投資優先分野として18セグメントが指定されており、機械、電子、デジタル、自動車部品、環境管理、グリーンエネルギーなどの革新的なハイテク産業が含まれている。しかし、足元の実情としては、依然として縫製業をはじめとする労働集約的の軽工業に投資が集中している。

(大西俊也)

(カンボジア)

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