電力業界団体、水力と風力を中心に再エネ拡大を訴え

(オーストリア)

ウィーン発

2026年03月17日

オーストリアの電力業界団体オーストリア・エネルギーは3月5日、電力システムの将来像を示す調査レポートを公表した。再生可能エネルギー(再エネ)の着実な拡大とシステムコストの抑制が、2030年および2040年の気候・エネルギー目標達成に向けて不可欠だと強調した。

同団体によると、エネルギー危機や太陽光発電の急速な増加、システムコストの上昇により、電力供給を取り巻く状況は近年大きく変化している。通年ベースでは総電力消費に占める再エネの比率が約90%に達するものの、毎時間ごとでみると、完全に再エネのみで電力を賄えるのは5時間に1回程度にすぎず、多くの時間帯で輸入電力やガス火力発電への依存が続いているという。

同団体のバーバラ・シュミット事務総長は、「年間を通じた総電力消費の再エネ割合が90%に達することは喜ばしいが、電気料金の低下にはつながらない。重要なのは、電力がいつ・どこで発電され、どのように系統へ統合されるかだ」と指摘した。さらに、同団体のミヒャエル・シュトルーグル会長は、中東情勢の緊張に関し、直接的な影響はないとしつつも、外部ショックに対する脆弱(ぜいじゃく)性を踏まえ、国内発電能力を高める必要性を訴えた。

政府が定める再エネ拡大法は、2030年までに再エネによる発電を27テラワット時(TWh)増加させることを目標としている。施行から約5年が経過し、2025年までの状況を分析した同レポートでは、太陽光、風力、水力の追加発電量は技術ごとに進捗が分かれる結果となった。

特に太陽光発電は著しい伸びをみせ、国内の総出力はおよそ10ギガワット(GW)に到達した。これは自流式水力発電〔約6ギガワット(GW)〕を大幅に上回る規模となる。

水力発電所の拡大も進んでいるが、認可が長引いている影響もあり、いくつかの発電所の稼働は2030年以降になる。電力システムを安定化させる役割がある水力発電の拡大のためには、認可プロセスの迅速化が重要な促進力になる。

オーストリア・エネルギーによると、風力発電は最も迅速な対応が必要な分野だ。現在のスピードでは、2030年までに拡大目標は達成できず、電力供給の安定性にも悪影響を与える。

同団体は、2040年までに電力需要は現在の80TWhから120TWhに上昇すると予測している。2040年の気候・エネルギー目標達成のため、同団体はこれからの再エネ拡大計画では水力と風力に照準を合わせるべきだと強調している。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

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