ジェトロ、上海で環境・脱炭素セミナーを開催

(中国、日本)

上海発

2026年03月26日

ジェトロは3月20日、上海市内で「中国の環境・脱炭素分野の最新動向」をテーマにセミナーを開催した。在中国日系企業を中心に70人以上が参加した。講演では、中国の環境政策の方向性から企業の対応、実務に至る内容が取り上げられた。

開会あいさつでジェトロ上海事務所の佐伯岳彦次長は、排出削減は今後多くの企業にとり重要な経営課題となり得る旨を説明した。また今回のセミナーは、当局の政策、企業の低コスト対応、外資企業の取り組み事例、工場閉鎖時の注意点など、実務に即した状況を紹介するものであり、参考にして欲しいと述べた。

講演では、ジェトロ・プラットフォーム事業・環境分野コーディネーターであり、上海漢和企業発展促進中心の常務理事、中華環保聯合会グリーン貿易促進委員会委員の曹雪飛氏が、「中国環境政策の最新動向と中資系・欧米系企業の取組」について講演した。第15次5カ年規画の核心施策などを解説し、ゼロカーボン工場などの新たな政策展開の下で、グリーンビジネス機会が拡大しているとし、中国企業や欧米企業の取り組み事例を紹介した。

続いて、みずほ銀行(中国)中国アドバイザリー部サステナブルビジネス室上席課長代理の郭嘉賓氏が、「脱炭素分野における日系企業の動向・課題・対策例」について講演した。中国で脱炭素対策に取り組む際、日系企業はコンプライアンス、コスト転嫁などの複数のハードルがある中で、脱炭素の対応の必要性や対応方法がわからないといった課題に直面する企業が多いと説明。まずは自社の温室効果ガス排出量の把握から開始した上で、省エネ・再エネ導入・クレジットの活用などを組み合わせた段階的対応を行うのがよく、自社としても取り組みサポートを行った事例があると説明した。

最後に、上海速宜環境科技董事長で上海化工研究院顧問の吉田憲幸氏が、「低炭素な土壌汚染対策技術の実践および生産型企業が今後取るべき対応」について講演した。中国では工場移転時に土壌調査が求められるなど規制運用が進む中、対応の遅れがリスク拡大につながると指摘。その上で、移転時に限らず、運営段階からのリスク把握や事前の調査の重要性について説明した。

また、質疑応答では、カーボンフットプリント対応、グリーン電力調達の方法、温室効果ガス排出量の算定範囲、土壌汚染調査の進め方などについて具体的な質問が寄せられた。質問は企業の実務対応に関する内容が多く、また、セミナー後も講演者との意見交換・名刺交換を希望する人の列ができるなど、参加者の当該分野に対する関心の高さがうかがえた。参加者からのアンケートでは「今後の活動のヒントとなった」「政策だけでなく実際の市場状況や企業の動きについても理解することができ、大変参考になった」「体系的な説明で、貴重な機会となった」といった声が寄せられた。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

(伊藤彩菜)

(中国、日本)

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