イスラエル国会、2026年度予算案を可決、過去最大規模、防衛支出を大幅拡充
(イスラエル)
テルアビブ発
2026年03月31日
イスラエルの国会に相当するクネセトは3月30日、2026年度の国家予算案を第二読会と第三読会で審議し、法案が可決された。賛成62票、反対55票だった。予算は法定期限である3月31日までに成立したため、予算未成立に伴う国会の自動解散は回避された。現行法の下では、次回のクネセト総選挙は、現議会任期の満了に伴い、遅くとも2026年10月27日までに実施される予定となっている。
可決された2026年度予算の歳出総額は8,506億シェケル(約42兆8,702億円、1シェケル=約50.4円)で過去最大規模となる。内訳は、通常予算が約6,210億シェケル、インフラ整備、研究開発など将来にわたり効果を持つ投資的支出を対象とする開発・資本勘定が約2,280億シェケル。
今回の予算編成では、安全保障関連の支出が大幅に拡大された。国防省の予算は300億シェケル超が上積みされ、総額は約1,420億シェケルに達した。長期化する軍事行動を背景に、治安・防衛を優先する政府の姿勢が鮮明となっている。一方、教育省は約970億シェケル、厚生省は約630億シェケル、社会保障を担う国民保険庁は約640億シェケルとされた。
ベザレル・スモトリッチ財務相は採決前の討論で、戦時下でもイスラエル経済は堅調に推移していると強調。通貨や株式市場、ハイテク投資は好調で、雇用環境も安定し、インフレは低下傾向にあると指摘した。今回の予算は数百億シェケル規模の追加支出により軍事行動を終結へ導き、地政学・外交的地位を高めるものだと述べ、「国家が勝利するための予算」と位置付けた。同時に生活費高騰などの課題も認めつつ、経済改革を通じた国民の負担軽減への意欲を示した。
これに対し、野党側は強く反発している。最大野党・中道政党「イェシュ・アティド」党首のヤイル・ラピッド前首相は、2026年度予算案を「国民のためではなく政治のための略奪だ」と厳しく批判。連立与党向け資金が優先される一方、防空壕整備、教育、交通安全、社会的弱者への支援が削減されていると指摘した。ミサイル攻撃が続く中で防護予算まで減額されたとし、今回の予算の最大の犠牲者は、働き、納税する中間層だと訴えた。
イスラエルの軍事衝突の関連情報は、ジェトロのイスラエルとハマスの衝突の特集、イスラエル・米国とイランの衝突に関する中東情勢、各国の反応を参照。
(中溝丘)
(イスラエル)
ビジネス短信 4931e8ad8dd8fa3a





閉じる