ハイテク産業都市のビジネス環境、エスキシェヒル商業会議所に聞く

(トルコ、ベルギー)

イスタンブール発

2026年03月27日

ジェトロは、近年、重要鉱物資源や防衛装備品産業などで注目されるトルコ西部の産業都市エスキシェヒル県のビジネス環境について、エスキシェヒル商業会議所(ETO)にインタビューを行った(インタビュー:3月2日)。

エスキシェヒルは首都アンカラの西に隣接する内陸都市で、イスタンブールから南東へ高速鉄道(YHT)で約3時間(添付資料図参照)。人口は約92万8,000人だ。

産業別でみると、全体の54%がサービス業、39%が工業、7%が農業で構成されている。エスキシェヒル工業団地(EOSB)の敷地面積は3,400万平方メートルで、入居企業は900社以上、4万9,000人以上の従業員を擁する。

同県の主要産業は、冷蔵庫、クーラーなどの白物家電や同関連産業が知られ、トルコの白物家電製造大手アーチェリキの生産拠点がある。また、航空・宇宙産業は、同県にトルコ領空の防衛を担う空軍司令部が所在していることなどを背景に発展し、近年、さらなる輸出が期待できる基幹産業になっている(注1)。トルコ航空宇宙産業(TUSAS)、TUSASエンジン工業(TEI)、米国のシコルスキーと提携しているアルプ航空などの企業とそれを支える産業クラスターがエコシステムを構築している。

また、宇宙・航空分野に力を入れるエスキシェヒル工科大学は、トルコの大学で唯一、空港(ハサン・ポラトカン空港)を所有し、航空産業関連の技術者や操縦士の人材育成を担っている。食品産業では、大手食品メーカーのエティの生産工場などがあり、食品・包装機器の製造も主要産業に位置付けられている。他にも、鉄道関連のトゥラサシュ、ガラス産業のシシェジャム、ポリ塩化ビニル(PVC)製のドアや窓枠製造ではユーロペン(EUROPEN)などの企業の生産拠点がある(注2)。

トルコ輸出業者協議会(TIM)によると、同県の輸出(国別)では、首位は米国で、フランス、ドイツ、ルーマニア、スペインなどの欧州向けが大半を占める。

物流インフラについて、ベルギーなどへの陸路の輸送日数は、変動があるものの4~5日となっている。そのほか、工業地帯からハサンベイ物流センターを介し鉄道に接続、そこから同県の中心地やイズミット港湾、西は欧州、南はメルスィン港や各地へと輸送できる。鉄道については拡張計画もある。

人口構成について、同県は海外からの移住者が多く、全世帯の約3割は海外からの移住者が起源であることで知られる。多くは、19~20世紀にバルカン半島、コーカサス地方、クリミアなどから移住した人々だ。他方、1960年代に、ベルギーの政策により同国へ移住したトルコ人の多くが、エスキシェヒル県に隣接するアフヨンカラヒサル県エミルダー出身であるとされている。このため、ハサン・ポラトカン空港からベルギーへの直行便があり、トルコからベルギーへの移住者の多くがエスキシェヒルで商業などを行うケースもみられる。

また、近年トルコと経済的な結びつきが強まりつつある中国の動向について、中国の自動車メーカーのSWM〔斯威汽車、鑫源集团(Shineray Group)傘下〕は同県へ自動車製造拠点を設置し、2026年1月から国内販売を開始している。さらに、中国大手家電メーカーのハイアール(海爾)は同県で、衣類乾燥機、食器洗い機、調理器具などの製造、研究開発も行っており、国内外の市場で販売している。

(注1)トルコでは、防衛産業は航空・宇宙産業の一部に位置付けられることが多い。

(注2)同県で製造活動する記事記載以外の企業では、耐火材のRHIマグネシタ、農業および種子分野のKWS、断熱材および遮音材のクナウフ、自動車および機械式トランスミッションシステムのGKNなどがある。また、同県には豊富な鉱石資源があり、マグネサイト鉱物などの採掘・加工も行っており、近年、豊富な埋蔵が期待される同県ベイリコワァ周辺の希少鉱物が注目されているが、現時点では詳細な情報は公開されていない。トルコ統計機構(TUIK)によれば、2025年の同県登記企業による輸入額は約15億ドル(県別19位)、輸出額は約17億ドル(18位)だった。

(井口南)

(トルコ、ベルギー)

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