インド向けを中心にEPAを活用し、現地市場で競争力確保
(インド、EU、日本)
調査部米州課
2026年03月18日
経済連携協定(EPA)の利用は通常よりも低い関税率での取引を実現し、輸出企業にとって競争力を高める手段の1つだ。一方で、制度の複雑さから、利用に苦労する企業も少なくない。今回は茨城県にある機械メーカーの実務担当者に、EPAの利用実態を聞いた(インタビュー日:3月2日)。
同社は、とりわけ価格競争が激しいインド向け輸出において日インド経済連携協定(EPA)を利用している。日インドEPAは、顧客からの要請を受け2012年から利用を開始した。そのほか、最近ではドイツの顧客向けに日EU・EPAの利用も開始した。同社の製品はインドへの輸出時に7.5%の一般(MFN)関税がかかるが、EPAを利用すると免税となり、メリットが大きい。そのため、「コスト競争力を維持する目的で、EPA利用は不可欠と考えている」と語る。
同社製品の品目別原産地規則(PSR)では、関税分類変更基準(CTC)に加え、付加価値基準(VA)も同時に満たす必要がある。特に付加価値基準はかろうじて満たしている状況で、一部の部品では多少価格が高くても、国産品を利用して原産性を維持する工夫をしている。より安定的に原産性を維持するため、サプライヤー証明書の利用拡大も検討したいという。
日インドEPAは、日本商工会議所に原産品判定依頼を行う第三者証明制度であるため、自己申告制度である日EU・EPAよりも申請に時間がかかることが多い。以前は自社独自のフォーマットを使っていたが、経済産業省が公表しているひな形(注1)を利用するようにしたところ、比較的スムーズに申請が通るようになった。抜け漏れが少なくなったことが要因の1つと考えている。
対インドビジネスにおけるこれからの課題
担当者によれば、インド政府の「メーク・イン・インディア」政策(注2)の影響で、インド顧客の現地生産品へのシフトが最近顕著になってきていると肌で感じているという。「正直EPAの活用だけではこの波には勝てない」として、ハードルが非常に高いが、以前検討したことのあるインド進出など次の打ち手が必要と考えている。
(注1)同ひな形は経済産業省委託事業として東京共同会計事務所が運営するEPA相談デスクのウェブサイト
に掲載されている。
(注2)インドのモディ政権が掲げる、製造業振興のスローガン。国内製造業保護と高付加価値の部品の国産化を推進するため、特定製品への関税引き上げや輸入規制を行いつつ、製造業を中心に外資誘致を行っている。
(加藤遥平、吾郷伊都子)
(インド、EU、日本)
ビジネス短信 36e290603a6bd13c






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