中国、中東情勢を受け中東各国との外交進める

(中国、イラン、米国、イスラエル、カタール、エジプト、トルコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、クウェート、湾岸協力会議(GCC)、中東)

北京発

2026年03月27日

中国の王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)は3月24日、イランのアッバース・アラーグチー外相と電話会談を行った(注1)。

外交部の発表では、アラーグチー外相は最新の情勢について説明するとともに、中国による緊急・人道支援に感謝の意を表したとしている。また、イラン側は一時的停戦にとどまらず、全面的停戦の実現に尽力していくとし、中国が和平促進と停戦に向けて引き続き積極的な役割を果たすことを期待するとした。王部長は、あらゆる懸案は武力行使ではなく対話を通じて解決されるべきであると強調した。また、中国側は、引き続き客観的で公正な立場を堅持し、他国の主権侵害に反対し、積極的に和解と停戦を促し、地域の平和と安定に尽力していくと述べたとしている。

中東問題特使による外交も進む

中国政府は2002年以降、中東問題特使を設置している。米国とイスラエルがイランへの共同攻撃(2026年3月2日記事参照)を開始して以降も、翟隽(てきしゅん)中東問題特使(注2)は中東各国との会談を実施している。

翟特使は3月8日から3月15日にかけて中東を訪問し、各国外相と会談した(注3)。会談では、中東地域の平和と安定に向け、中国は建設的な役割を果たしていきたいと述べている。また、3月15日にはカタールのムハンマド・ビン・アブドゥルアジーズ・アル・フライフィ外務担当国務相と電話会談を行い、カタールがこれまで中東問題において重要な仲介的役割を担ってきたことを評価し、カタールとともに情勢の沈静化を図っていきたいと述べた。3月20日にはアブドッレザー・ラフマーニー・ファズリー駐中国イラン大使、3月24日にはエリ・ベロツェルコフスキー駐中国イスラエル大使と会談し、緊張が高まる中東情勢について意見交換を行った。さらに、3月25日にはGCC諸国の駐中国使節団と会談を行った。会談で翟特使は、現在の戦闘が中東地域の安全と安定を深刻に脅かしていると指摘し、中国はGCC諸国が自国の主権、安全、領土保全を守るための努力を理解し支持するとし、今後も情勢の沈静化に向けてGCC諸国と緊密な連携を維持していく意向を示した。GCC駐中国使節からは、中国が地域の平和と安定の早期回復に向けて、より大きな役割を果たすことを期待すると表明があった(注4)。

(注1)王部長はこのほか、3月25日にエジプトのバドル・アブデル・アティ外務・国際協力・在外エジプト人相ならびにトルコのハーカン・フィダン外相とそれぞれ電話会談を実施した。王部長は両国外相に対し、中東情勢に対する懸念を述べたうえで、解決に向けた両国の役割に対する期待を述べた。

(注2)翟特使は2019年から現職。駐リビア大使、外交部副部長、駐フランス大使などを歴任している。北京外国語大学アラビア語学科を卒業している。

(注3)3月8日に湾岸協力会議(GCC)のジャーセム・アル・ブダイウィ事務総長、3月8日にサウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン・アール・サウード外相、3月10日にアラブ首長国連邦(UAE)のアブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン副首相兼外相、3月12日にバーレーンのアブドゥルラティーフ・ビン・ラーシド・アル・ザヤーニ外相、3月15日にクウェートのジャッラーハ・ジャービル・アル・アフマド・アル・サバーハ外相とそれぞれ会談した。

(注4)翟特使はこのほか、3月17日にエジプトのアブデル・アティ外相とも会談し、中東情勢について意見交換を行っている。

(亀山達也)

(中国、イラン、米国、イスラエル、カタール、エジプト、トルコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、クウェート、湾岸協力会議(GCC)、中東)

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