ルフトハンザグループ、中東情勢悪化に対応、アジア・アフリカ路線で増便を検討

(ドイツ、欧州、中東)

調査部欧州課

2026年03月17日

ルフトハンザグループは3月10日、中東情勢悪化の影響に伴う長距離路線の需要増加を受けて、アジアおよびアフリカ路線を中心に増便を予定していると発表した。

現在公表されている臨時増便計画は次のとおり。

  • ミュンヘン発シンガポール行き往復便:4便(予約受付開始)
  • フランクフルト発ケープタウン行き往復便:2便(予約受付開始)
  • フランクフルト発リヤド行き:2便

その他、インド、中国への増便が検討されている。また、同グループのオーストリア航空はウィーン発バンコク行きの臨時往復便を10便運航する。

同グループによると、現在多くの旅客がペルシャ湾岸のハブ空港を経由する乗継便を避けていることから、欧州の航空会社によるアジアおよびアフリカへの直行便の需要が高まっている(ドイツ公共放送ARD「ターゲスシャウ」3月6日)。同グループ取締役会会長兼最高経営責任者(CEO)のカーステン・シュポア氏は、「アジア行きの直行便の事前予約数が現在、前年比で75%増となっている」と3月6日の年次決算報告の場で述べた。また、同氏は航空貨物についても特別な需要が生じているとルフトハンザ・カーゴ事業の状況として報告した(経済紙「ハンデルスブラット」3月6日)。

中東情勢悪化の影響で特需が発生している一方、同グループは同地域の情勢の進展とそれに伴う世界経済への地政学的影響が中長期的な予測における不確実性を高めていると表明。また、シュポア氏は長期的な動向を見極めるには時期尚早とした上で、航空輸送の供給不足や封鎖空域を迂回する必要があることから、利用客は航空券価格の上昇に備える必要があると述べた。また、同グループは原油価格の変動にも懸念を示しており、国際航空運送協会(IATA)の発表では、3月6日までの1週間のジェット燃料価格は世界平均で前週比58.4%上昇(1バレル当たり157.41ドル)、欧州・CIS平均で58.5%上昇(同162.98ドル)となった。IATAによると、欧州はジェット燃料需要の25~30%をペルシャ湾からの供給に依存。船舶輸送の急減や保険料の大幅上昇により供給が逼迫する中、現物不足への懸念を背景に精製マージンや上乗せ価格が急激に上昇しているという。なお、ルフトハンザグループは2025年末時点でケロシン(ジェット燃料主成分)などを対象に、先物取引および無条件先渡し取引を通じて2026年の想定燃料需要の約76%を確保している。

(近藤慶太郎)

(ドイツ、欧州、中東)

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