2月の米雇用統計、失業率の上昇など労働市場の安定化の困難さを示唆する内容
(米国)
ニューヨーク発
2026年03月10日
米国労働省は3月6日、2月の雇用統計を発表
した。直近2カ月の雇用統計でみられていた労働市場の安定化の持続可能性について再考させる内容となっている。
就業者数(前月差18万5,000人減)、失業者数(同20万3,000人増)、労働参加率(62.0%、前月から0.01ポイント低下)(注1)を踏まえた失業率は4.4%(注2)と、前月(4.3%)から上昇した(添付資料表1、図1参照)。このほか、平均失業期間は25.7週(前月23.7週)と再び長期化した。他方、広義の失業率(注3)は7.9%(前月8.1%)と小幅ながら改善しているが、家計調査(注4)の結果を総じてみれば、労働需要の弱さが強く感じられる内容だ。
こうした結果は事業所調査でも同様で、非農業部門の新規雇用者数については、前月差9万2,000人減と市場予想(5万人増)を大きく下回る結果となった。また、1月は13万人増から12万6,000人増に、2025年12月は4万8,000人増から1万7,000人減にそれぞれ下方改定された。この結果、3カ月移動平均でみると、2月は6,000人増の水準にまで低下。2月は一部医療従事者のストライキの影響で3万7,000人分下押しされたという事情や、悪天候などの特殊要因も存在するものの、これを差し引いても極めて低調な水準だ。
内訳では、政府部門が6,000人減、民間部門が8万6,000人減だった。業種別では、プラスに寄与した業種は金融業(1万人増)、など一部に限られており、ストライキの影響による減少が影響した教育・医療(3万4,000人減)のほか、娯楽接客業(2万7,000人減)、製造業(1万2,000人減)、建設業(1万1,000人減)、情報業(1万1,000人減)、運輸・倉庫業(1万1,000人減)、など幅広い業種でマイナスとなっている(添付資料表2、図2参照)。
他方、賃金に関しては、雇用者数ほどの変化はない。平均時給は37.3ドル(前月37.2ドル)、前月比0.4%増(前月0.2%増)、前年同月比3.8%増(前月3.7%増)となり、市場予想(前月比0.3%増、前年同月比3.7%増)をわずかながら上回っている。週当たり平均労働時間も、34.3時間(前月34.3時間)、前月比0.0%増(前月0.3%増)、前年同月比0.6%増(前月0.6%減)であり、こちらも大きな変化はみられない。
2月の結果は、特殊要因含みではあるものの、ここ2カ月程度の比較的良好な労働市場の統計結果の中でも散見されていた労働需要の弱さが、より顕著なかたちで発現したものと評価することができそうだ。もっとも、失業保険給付申請件数などは比較的低水準を保っているほか、今回の雇用統計でも賃金上昇率などの基調はほとんど変化しておらず、労働市場が急速に減速しているわけではないかもしれない。それでもなお、企業の採用意欲が低い中で、労働市場の安定化を確実なものとすることがいかに難しいかを物語るものとなっている。
(注1)2026年1月および2月の数値は最新の国勢調査の結果が反映されており、2025年以前の系列とは直接接続しないものとなっている。今回の反映に伴って、人口構成が大きく変化したことなどが影響し、2026年1月以降の労働参加率が大きく低下している。
(注2)小数点第2位までの数値で比較すると、2月は4.44%と前月(4.32%)から0.12ポイント上昇。
(注3)失業者に加え、「現在は仕事を探していないが、過去12カ月の間に求職活動を行った者」と「フルタイムを希望しているものの、非自発的にパートタイムを選択している者」を合わせて算定した数値。
(注4)雇用統計は失業率などを含む家計調査と、非農業部門新規雇用者数や平均賃金などを含む事業所調査の2種類の統計から成り立っている。
(加藤翔一)
(米国)
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