イタリア、「戦略的重要製品」6割を「中・高リスク国」から調達

(イタリア)

ミラノ発

2026年03月31日

イタリアが2023~2025年の3カ年で、「戦略的重要製品」の約6割を、政治リスクが中~高程度の国から調達していることが分かった。イタリア国家統計局(ISTAT)が3月23日に公表した「生産部門の競争力に関する報告書」で明らかになった。

報告書では、半導体などの戦略的に重要な製品317品目を選定し、8つのカテゴリーに分類。フランス、ドイツ、スペインと比較分析を行った。その結果、2023年からの3カ年において、4カ国全てで輸入総額に占める戦略的重要製品の割合が2割を超え、中でもフランスは24.2%と最も高かった。

製品カテゴリー別にみると、ドイツは「バイオ・医療製品」や「機械・産業用ロボット」の割合が、他の3カ国に比べて高かった。フランスは「防衛・航空宇宙」分野の比重が大きく、スペインは「石油化学・基礎化学」が目立った。一方、イタリアでは再生可能エネルギー(再エネ)など「代替エネルギー関連製品・蓄電」の割合が相対的に高かった。なお、天然ガスと電力も「代替エネルギー関連製品」に分類されており、イタリアを除く3カ国では、このカテゴリーの割合は低下している。

さらに、イタリアが戦略的重要製品の輸入先として、政治リスクの高い国への依存を強めている実態も明らかになった。世界銀行の世界ガバナンス指標(WGI)を基に、政治リスクを5段階で評価したところ、イタリアの戦略的重要製品の輸入先のうち、28.1%が「高い」または「高・中程度」のリスク国だった。「中程度」を含めると、その割合は57.1%に上る。一方、EU主要4カ国(ドイツ、フランス、スペイン、イタリア)全体で見ると、「高い」「高・中程度」の国からの調達は23.0%にとどまり、「中程度」を含めても48.2%だった。

米国向け輸出は関税の影響なし

報告書ではこのほか、米国向け輸出や中国依存の現状についても分析している。2025年のイタリアの貿易収支は507億ユーロの黒字と好調。米国の関税措置による影響は限定的で、対米輸出額は前年比7.2%増と大きく伸びた。欧州主要国の中で対米輸出が増加したのはイタリアのみで、ドイツとスペインはともに9%超減少、フランスは0.9%減となった。

また、2025年のイタリアの中国からの輸入額は前年比で16.4%増。2022年と比べても4.3%増加している。2024年末から2025年初頭の、米国による対中関税が発動した時期に著しく増加した。総輸入額の10.3%を中国が占め、輸入相手国としてはドイツに次ぐ2位だった。他の主な欧州諸国をみると、総輸入額における中国からの輸入の割合は、ドイツが7.5%、フランスが6.6%、スペインが8.8%で、イタリアが特に中国への依存度が高いことがわかった。

(平川容子)

(イタリア)

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