カザフスタンで政治体制を改革する新憲法が採択
(カザフスタン)
タシケント発
2026年03月27日
カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は3月17日、同国の新しい憲法に署名した。7月1日に施行される。この憲法の採択をめぐる国民投票は3月15日に実施された。憲法改正は全文の84%に及び、国内の政治体制に大きな変化をもたらす内容となっている。主な変更点は、二院制から一院制議会への移行、議会選挙の完全な比例代表制への転換、副大統領職の創設だ。専門家は、憲法改正が大統領権限の強化をもたらすと指摘する。
中央選挙管理委員会の発表(3月17日)によると、3月15日の国民投票の結果、新憲法の採択に賛成した有権者は87.15%で、投票率は73.12%だった。
憲法改正により、現行の二院制から、トカエフ大統領の提案により「クルルタイ」(「集会」を意味する)と呼ばれる一院制の新議会に移行する。新憲法第95条に基づき、現行の議会は7月1日にその権限が終了する。憲法の施行日から2カ月以内に新たな議会選挙が実施される。新議会の議員数は145人と定められており(現在の二院制では合計148人)、比例代表制によって選出される。この規定により、政党名簿にある候補者のみが選挙に参加できることとなり、従来の憲法で認められていた単一小選挙区からの無所属候補の立候補は不可能になる。なお、新議会が招集されるまでの期間については、新たな憲法の規定に従い、大統領が法律および憲法的効力を有する大統領令を発する権利を得ることになる。
新憲法はまた、副大統領職の「復活」を定めており、副大統領は議会の同意を得て大統領が任命する。同国では、ソ連時代を含む1990~1996年の間、副大統領職が存在した。
副大統領職の設置について、カザフスタンの政治学者マクシム・カズナチェエフ氏は、米国の副大統領制度とは異なり、選挙ではなく大統領による任命制である点が特徴だと指摘する(「spik.kz」1月20日)。政策研究所「Paperlab」のセリク・ベイセムバエフ所長は、将来的な後継者選びを見据えたものという見方を示した(「カーネギー・ロシア・ユーラシア・センター」3月16日)。
新憲法の採択により、大統領の権力は一層強化されると見込まれる。ベイセムバエフ氏によると、大統領が議会の同意なしに憲法裁判所および最高裁判所の長官、国立銀行(中央銀行)総裁、さらに治安機関(検察・国家安全保障委員会)の指導者を任命する権限を持つことになるため、大統領の権力が強化される。さらに、大統領は一院制となる議会に対しても影響力を強める。新憲法によると、副大統領はじめ首相、最高裁判所判事などについて大統領が指名した候補を議会が2度拒否した場合、大統領は議会解散権を持つ。
トカエフ大統領は国民投票当日に、次の大統領選挙は2029年に行われるとあらためて確認した。また、2025年5月にカタールのテレビ局「アルジャジーラ」に対して、2029年の選挙をもって国家元首の職を退く意向を示している。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(カザフスタン)
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