GFTN、STエンジニアリング、オーストラリアの大学と量子実証プラットフォーム立ち上げ

(シンガポール、オーストラリア)

シンガポール発

2026年03月30日

シンガポールの非営利会社グローバル・ファイナンス・アンド・テクノロジー・ネットワーク(GFTN)は3月24日、地場の総合防衛・エンジニアリング会社STエンジニアリングと西オーストラリア大学(UWA)と共同で、量子実証プラットフォーム「Q-FINEX」を立ち上げると発表した。金融機関が抱える課題について、量子技術などを用いて解決を図る。その成果をシンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)とGFTNが2026年11月18~20日にシンガポールで開催予定のシンガポール・フィンテック・フェスティバル(SFF)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで発表する予定だ。

Q-FINEXの立ち上げを発表したGFTNのラビ・メノン会長(MAS前長官)は、金融において量子コンピューティングが、資産ポートフォリオの最適化やリスクのシミュレーション、デリバティブなど複雑な金融商品の価格設定に活用できる可能性を指摘した。Q-FINEXは、金融機関が提示した課題について、量子技術や従来手法の中から最適な手段を選択し、解決・検証を行う低リスクの実証環境を提供する。課題解決に取り組むのは、UWAのジンボー・ワン教授が率いる量子情報シミュレーション・アルゴリズム(QUISA)研究チームとなる。STエンジニアリングとGFTNは、研究成果の実用化に向けた橋渡しを担う。金融機関からの課題は、GFTNのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで受け付けている。

写真 Q-FINEX発足で記念撮影に応じる関係者。GFTNのメノン会長(左から4人目)、GFTNのソピネンドゥ・モハンティ・グループ最高経営責任者(CEO、右から4人目)、UWAのジンボー・ワン教授(右から3人目)(ジェトロ撮影)

Q-FINEX発足で記念撮影に応じる関係者。GFTNのメノン会長(左から4人目)、GFTNのソピネンドゥ・モハンティ・グループ最高経営責任者(CEO、右から4人目)、UWAのジンボー・ワン教授(右から3人目)(ジェトロ撮影)

GFTNは、MASが2024年にフィンテック分野の技術振興とイベントを開催する非営利会社として設立された(2024年11月14日記事参照)。今回の発表は、GFTNがオーストラリア・パースのUWA構内で開催したフィンテックの国際会議「ブラックスワン・サミット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で行われた。

量子コンピューティングは現時点で技術的に発展途上にあり、本格的な商用運用には至っていない。しかし、GFTNのラビ・メノン会長は、「金融の世界では、遅れるリスクは早すぎるリスクよりも大きい」と語り、量子コンピューティングへの早期対応の必要性を強調した。

(本田智津絵)

(シンガポール、オーストラリア)

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