モエベCEO、グリーン水素製造プロジェクトに言及、欧州水素エネルギー会議が開催

(スペイン)

マドリード発

2026年03月19日

欧州水素エネルギー会議(EHEC)2026が3月11~13日、スペインのアンダルシア州セビージャで開催された〔主催者はスペイン水素協会(AeH2)〕。同会議は2005年にサラゴサで初めて開催され、2014年以降はスペイン国内の異なる都市にておおむね隔年で開催されている。主催者によると、今回の会議参加者は2,000人以上(初回2005年は500人)。

同イベントの主要スポンサー企業モエベ(旧セプサ、スペイン大手エネルギー会社)のマールテン・ウェツェラー最高経営責任者(CEO)は初日の冒頭あいさつで、「当社は先週、アンダルシア・グリーン水素バレー(注)の第1フェーズとして、生産能力300メガワット(MW)の水素製造プラントについて最終投資決定(FID)をしたと発表した。再生可能エネルギー指令の改正(REDⅢ)の国内法制化の動き、アンダルシア州政府による支援などが当社のFIDを後押しした」と説明した。また同CEOは、グリーン水素プロジェクトが進むサウジアラビア(2024年10月25日付地域・分析レポート参照)を念頭に、「スペインにおけるグリーン水素生産プロジェクトを拡大させることで、イベリア半島を欧州における『サウジアラビア』(アラビア半島)としていきたい。ここアンダルシアを拠点にグリーン水素生産の明るい将来に向けて取り組んでいく。さまざまなリスクはあるが、前を向いて進むだけだ」と述べた。

写真 EHEC2026であいさつをするモエベのウェツェラーCEO(ジェトロ撮影)

EHEC2026であいさつをするモエベのウェツェラーCEO(ジェトロ撮影)

アンダルシア州政府のフアン・マヌエル・モレノ州首相は、アンダルシア・グリーン水素バレーは4年間の準備期間を経て始動した「現実の投資」だと述べた。同州は豊富な日照資源という圧倒的な競争優位性と許認可手続きの迅速化をテコに、2030年までにスペインの再生可能水素の3分の1を生産する計画を掲げており、「南欧における水素の都」を目指すと述べた。一方、スペイン政府産業・観光省のジョルディ・ガルシア・ブルステンガ産業長官は、「水素は脱炭素化だけでなく、競争力や戦略的自律性に関わるエネルギー源」であり、電解装置や燃料電池といった新産業を創出し、鉄鋼や大型輸送などの既存産業を変革するものであると強調した。

写真 アンダルシア州のモレノ州首相(ジェトロ撮影)

アンダルシア州のモレノ州首相(ジェトロ撮影)

次回の同会議は2028年にマドリードで開催される予定。

(注)アンダルシア・グリーン水素バレー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは最大2ギガワット(GW)規模まで拡張予定。今回のFIDはそのうちの300MWの部分に相当し、モエベによると、南欧最大の水素製造プロジェクトとなる。同社の発表では、追加で100MWを増設する可能性にも言及している。なお、モエベの同プラントには、神戸製鋼所が圧縮機を納入することが決まっている。

(古川祐、伊藤裕規子)

(スペイン)

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