欧州委、デジタル接続性を支援するデジタル・ネットワーク法案を発表

(EU)

調査部欧州課

2026年02月02日

欧州委員会は1月21日、EUにおける通信・接続ネットワーク分野の規制を近代化・簡素化・調和させることを目的とした「デジタル・ネットワーク法案(Digital Networks Act:DNA)」を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。現行の規制は更新が必要とされており、光ファイバー、モバイル、衛星通信などの先進的なデジタル接続ネットワークへの投資を促進し、EUの競争力を支える高容量ネットワークの普及を図るものだ。また、現行の規則の調和と国境を越えたビジネスの円滑化を通じて、EU単一市場を構築することを目的とするとしている。

法案の主な内容は次のとおり。

  • 事業展開を容易にするため、企業は1カ国での登録のみでEU全域におけるサービス提供を可能とする。
  • 欧州全域をカバーする衛星通信サービスの開発を支援する。
  • 電波周波数ライセンスの有効期間の延長およびデフォルトで更新可能とすることにより、企業の投資予見性を向上させる。
  • 事業者間での未使用周波数帯の共有促進。
  • ネットワーク提供者とデジタルサービス企業間の自主的な協力の推進。

さらにDNAは、2030年から2035年にかけての銅線ネットワークの段階的廃止(注)に向けて、EU加盟国に対して国家計画を2029年に発表するよう義務付け、先進的な接続ネットワークへの移行を促進する。また企業が投資とイノベーションに注力できるよう、行政上の負担や報告義務を軽減するとした。

DNAは、ネットワークの安全性とレジリエンスの強化のため、接続性エコシステムにおける依存関係を制限し、EUレベルでの協力を促進。自然災害や外国からのネットワーク干渉を含む危機リスクの高まりへの対処、汎(はん)EU衛星通信選定のための共通メカニズムなど、EUレベルでの準備計画を導入するとした。

同法案は今後、欧州議会とEU理事会(閣僚理事会)で審議され、最終的に欧州電子通信コード(EECC)、BEREC(欧州電子通信規制者機関)規則、電波政策プログラム、およびオープンインターネット規則の4つの法律を置き換えて、直接適用可能な1つの規則に統合する。これは、欧州の「デジタル化の10年間(Digital Decade)」(2021年9月17日記事参照)と位置付けられるEUの2030年までのデジタル変革戦略計画における重要な一歩とされる。

(注)2023年6月末時点の光ファイバーを使った家庭向けの通信サービス(FTTH:Fiber to the Home)の普及率は、EU27カ国平均で64.0%、ドイツ29.8%、フランス81.4%、イタリア59.6%、スペイン95.2%、オランダ77.7%(出所:欧州委「Broadband Coverage in Europe 2023」)。

(坂本裕司)

(EU)

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