ジェトロ、COP31に向けトルコ気候変動に関するセミナーを開催

(トルコ、日本)

イスタンブール発

2026年02月04日

ジェトロは1月28日、トルコ日本人商工会連絡協議会(JBGT)と在トルコ日本企業向けトルコ情勢ウェビナー「トルコ気候変動政策の動向~COP31アンタルヤ会合に向けて~」をイスタンブールで開催した。国連気候変動枠組み条約第31回締約国会議(COP31)は、11月9~20日の会期で、会場はトルコ南部のアンタルヤ市内のエキスポアンタルヤ(Expo Antalya)となる予定。

同セミナーでは、トルコの首都アンカラにあるハジェテペ大学経済学部で環境経済学を専門とする荒志帆美助教授が講師として、トルコにおける気候変動の影響や展望、関連政策およびCOP31について講演した。

まず、荒助教授はトルコが、「国が決定する貢献(NDC)」(注1)の中期目標として2030年までにBAU(注2)比最大41%の排出削減、長期目標として2053年までに温室効果ガス(GHG)排出ネットゼロを目標に設定していることを説明。また、近年、熱波・気温上昇、水不足、洪水、森林火災などの環境問題も深刻で、政府は、GHG削減など抜本的緩和政策と避けられない気候変動の影響に備える適応政策の2つからなる気候変動に対する戦略および行動計画をそれぞれ定めていると続けた。緩和対策では、エネルギー、産業、建物、交通、廃棄物、農業、土地利用・土地利用変化および林業(LULUCF)セクターにおけるGHG削減政策に加え、炭素価格メカニズムと公正な移行の分野を網羅する49の戦略と260の行動計画を設定している。再エネへの転換政策として、電気自動車(EV)への供給にもかかわる送配電の損失率低減化・高効率化、発電の脱炭素、二酸化炭素の回収・有効利用・貯留(CCUS)、水素などの項目があり、戦略的優先事項では電解槽や燃料電池の国内開発・生産などが挙げられている。トルコは現在、世界で11位、欧州では5位の再エネ発電能力を有する国だが、水力発電では、渇水地域の影響や技術的な管理の問題による課題があるなど、再エネ発電の稼働率は約62%となっている。また、公正な移行として、炭鉱産業のグリーントランスフォーメーション(GX)をどのように進めるか、政府からの具体的な移行計画が待たれる。適応政策では、都市、水資源管理、農業・食糧安全保障、災害リスク削減など11のセクターで40の戦略と129の行動計画を設定している。企業向けにEU炭素国境調整メカニズム(CBAM)、グリーン対策の助成金や補助金、農業に関してはトルコ農業保険制度(TARSIM)などを設置しており、他にも水消費の少ない作物の推奨などがある。

トルコでは排出権取引制度(ETS)の導入も予定されている(注3)。

COP31に関して、トルコはGHG累積排出量が低く、上位中所得国(注4)の立ち位置から先進国と開発途上国の架け橋、途上国的配慮を求める中間国の立場でアピールするとみられている。

(注1)Nationally Determined Contribution。パリ協定締約国はNDCとして、気候変動対策を実施しなかった場合のBAUシナリオと比べてのGHG削減目標を設定し、5年ごとに国連に報告することとなっている。

(注2)Business-As-Usualの略。追加的な対策を講じなかった場合のGHGの排出量のこと。

(注3)トルコでは電力、化学、鉄鋼、セメントなどの産業セクターを対象に、排出権取引のパイロット期間を2026~2027年、第1期間を2028~2035年として導入する計画であり、温室効果ガス排出の報告の未提出企業に対し2028年以降罰則も予定されている。

(注4)世界銀行は、国民1人当たりの総所得(GNI)を基準に各国を低所得国(1,036ドル以下)、下位中所得国(1,036ドル超4,045ドル以下)、上位中所得国(4,046ドル超1万2,535ドル以下)、高所得国(1万2,535ドル超)に分類している。

(井口南)

(トルコ、日本)

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