大阪で商社商談会を開催、商談で見えた抹茶輸出の新局面

(日本)

大阪本部海外ビジネス推進課

2026年02月10日

ジェトロは1月21~22日に農水産物・食品の事業者と国内輸出商社との商談会を大阪で開催した。商談会には、海外販路拡大を目指す153の国内事業者と、輸出商社21社が参加し、輸出商社の事前選定により、337件の商談が実施された。抹茶を関心商材として選定した商社は8社に上り、25件の商談が成立するなど、依然として抹茶への強い需要が確認された。

2025年の緑茶輸出額は前年比98%増の約721億円で、6年連続で過去最高額を更新した(注)。日本茶の海外需要は菓子・飲料用途を中心に拡大している一方で、バイヤーの商品選定の基準は高度化しており、従来の「抹茶であれば売れる」という段階ではなくなりつつある。こうした中、各社はブランド訴求や代替素材の提案など多面的な戦略を打ち出しており、商談会でも新たな動きが見られた。

宇治森徳(本社:大阪府)の商談では、同社イメージキャラクターの「かおりちゃん」を活用したプロモーション戦略が提案された。抹茶事業者がキャラクターを軸にブランディングを行う手法は珍しく、そのユニークさに加えて国内での高い認知度をアピールしたことで、商社の強い関心を引くことにつながった。商談の中では、カナダに販路を持つ商社が「かおりちゃん」を前面に打ち出した広報素材を作成し、海外バイヤーや消費者へ視覚的に訴求していく方針が出されるなど、プロモーションの具体的な方向性にまで話が及んだ。キャラクター活用というユニークなアプローチは、海外市場において他社との差別化を図る手法として有効であり、抹茶事業者における新たなプロモーション・ブランド戦略の可能性を示す特筆すべき事例といえる。

写真 (左)宇治森徳の「かおりちゃん」(同社提供)、(右)抹茶の芳醇な香り漂う商談(ジェトロ撮影)

(左)宇治森徳の「かおりちゃん」(同社提供)、(右)抹茶の芳醇な香り漂う商談(ジェトロ撮影)

茶匠六兵衛(本社:京都府)の商談では、原料用抹茶の販売にとどまらず、新たな派生商品の提案へと議論が発展した。同社が提示した抹茶ペーストは、菓子やドリンク、生クリームに混ぜる際に生じやすい「ダマ」や「色変わり」を抑える特性を備えており、商社からは「現場の課題を解決する商品として訴求力が高い」と評価された。同商品に加えて、昨今の抹茶の価格高騰を踏まえ、香りが高く価格も安定しているほうじ茶を代替素材として海外バイヤーに紹介することで販売力を高める方針だ。

鎌田茶業(本社:宮崎県)は、紅茶の碾茶(てんちゃ)を石臼で挽いた「紅抹茶(あかまっちゃ)」を提案した。紅茶の碾茶は同社が試行錯誤を重ねた末、世界で初めて開発した自信作であり、「紅抹茶」として商標を取得している。紅茶の芳醇(ほうじゅん)な香味を生かしつつ、茶葉本来の旨味(うまみ)とほろ苦さを楽しめる点が特徴で、ラテや菓子素材など幅広い用途に対応する。

商社からは、競争が激化する抹茶市場において、差別化につながる新規性への期待が高まっている、との声も聞かれる。鎌田茶業はこうした需要を背景に、2025年から参入したフランス市場をはじめ、欧州を中心に複数の販路の拡大に成功している。

世界の抹茶市場は、2026年の39億1,000万ドルから2031年には53億5,000万ドルに達すると予測されており、長期的な成長が見込まれている(出典:Mordor Intelligence Matcha Market Report)。その成長を確実に取り込めるかどうかは、商談現場で示されたような「差別化された価値提案」と「安定した供給体制の構築」がカギとなる。

(注)HSコード0902.10-100、0902.10-900、0902.20-100、0902.20-900を用いて算出。

(堀阿貴、宮野創太、小池裕之)

(日本)

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