ドンバス譲渡案、ウクライナ世論の半数超が否定的

(ウクライナ、ロシア)

キーウ発

2026年02月10日

キーウ国際社会学研究所(KIIS)は2月2日、1月23日から29日にかけてウクライナで実施した世論調査の結果を発表した。米国および欧州からの安全の保証と引き換えにロシアが要求する「東部ドンバス全域(ドネツク州およびルハンスク州)のウクライナ統治権の放棄」に対して、国民の過半数が否定的な姿勢であることが明らかになった。調査対象はウクライナ政府の支配地域に居住する18歳以上の一般市民に対して電話インタビュー方式で行われ、回答者は1,003人だった。

調査結果によると、回答者の52%が「ウクライナの安全の保証と引き換えにドンバス全域をロシアの管理下に移すのは全く受け入れられない」と回答した一方で、40%は「受け入れ可能」または「困難ではあるが受け入れ可能」と答えており、意見は二分した。否定的意見が多数派ではあるものの、一定規模の譲歩容認層が存在する点が明らかとなった。現在米国の仲介で協議が進んでいる和平協定における最大の焦点であるドンバス地域の扱いについて、ウクライナ世論の一部には条件付きで議論を許容する姿勢がみられる。

「あとどれだけ、戦争に耐えられるのか」との別の設問に対しては、65%が「必要ならいくらでも」と回答しており、この数値は2022年2月の全面侵攻開始から大きな変動はない。

「必要ならいくらでも」と回答しなかった人に理由を尋ねた自由記述式の質問で最も多かった回答は「人々の死や生命への不安」(29%)で、次いで「砲撃や破壊」「経済的困難」(各17%)、「電気・暖房供給の問題」(15%)だった。調査を実施したKIISのアントン・フルシェツキー所長は調査結果について、ロシアによるウクライナのエネルギー部門への大規模攻撃が国民感情に大きな影響を与えておらず、国民の大多数は抵抗を継続する意志を維持していると分析している。

(坂口良平)

(ウクライナ、ロシア)

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