ラオス・パクセーで「グリーン水素焙煎コーヒー」プロジェクトが始動へ
(ラオス)
ビエンチャン発
2026年02月24日
ラオス南部パクセーにある「パクセー・ジャパン経済特区(PJSEZ)」で、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を活用した革新的なイノベーションプロジェクトの動きが加速している。事業主体は、日系企業などが出資するラオ・グリーン・ハイドロジェン(LGH)で、2025年末に水素製造とコーヒー焙煎(ばいせん)工場の建設が開始された。
本プロジェクトの最大の特徴は、ラオスの水力発電由来の電力を利用して「グリーン水素」を製造し、それをコーヒー焙煎の熱源として100%使用する点にある(2024年9月26日記事参照)。
従来のコーヒー焙煎では天然ガスなどの化石燃料が使用されてきたが、水素は燃焼しても二酸化炭素を排出せず、水蒸気のみを放出する。これにより、焙煎工程における「ネットゼロ・コーヒー」の実現が可能となる。また、LGHの西尾龍太郎氏(注1)によると、水素焙煎は熱の立ち上がりが早く、繊細な温度調整が可能という技術的な利点もあり、さらには煤(すす)が発生しないため、コーヒー本来の芳醇(ほうじゅん)な香りを長期間維持し、雑味の極めて少ないクリアな味わいを実現できるという。
ラオス商工省(旧:エネルギー鉱山省)が2024年に策定した「国家グリーン水素・アンモニアロードマップ
(注2)」では、2030年までに年間2万トン、2050年までに140万トンの水素生産を目標に掲げている。この計画は、セメントや鉱業、精錬、輸送分野での燃料利用、グリーンアンモニアによる尿素肥料の生産、余剰電力の水素貯蔵を推進するものだ。本プロジェクトは、この国家戦略を具現化する先行事例として位置付けられる。
工場は2027年3月の完成を予定しており、当初は年間約5,000トンのコーヒー豆を焙煎する。将来的には、年間1万トン規模への拡張も視野に入れ、世界のハイエンド消費者層に向けたプレミアムブランドの確立を目指す。
さらに、PJSEZはLGHと共同で、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC、注3)構想の下、「ゼロエミッション工業団地」へ進化させる計画を掲げる。今後は、グリーン水素を活用したグリーンアンモニアの生産や、食品・化学・肥料産業の誘致を進める計画だ。
LGHの実証試験用の小型水素焙煎機(ジェトロ撮影)
(注1)2026年2月13日および19日のジェトロのヒアリングによる。
(注2)2024年に策定したラオスにおける2050年までのネットゼロ目標を達成するためのエネルギー移行と、経済多様化を推進するための戦略的青写真。高付加価値な水素やアンモニアに変換することで、地域的なクリーンエネルギー・ハブとなることを目指すもの。
(注3)ASEANおよびオーストラリア、日本の11カ国のAZECパートナー国が参加し、域内のカーボンニュートラルおよびネットゼロ排出に向けた協力のための枠組みのこと。ASEAN各国の取り組みの詳細は、特集「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)に関する取り組み」を参照のこと。
(山田健一郎)
(ラオス)
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