米ウィスコンシン州知事、エネルギー政策を強化する取り組みを発表
(米国)
シカゴ発
2026年02月27日
米国ウィスコンシン州のトニー・エバース知事(民主党)は2月17日、2026年の州の施政方針演説の中で、州のクリーンエネルギー政策を強化する新たな取り組みを発表
した。主な取り組みは、原子力エネルギーの活用可能性を検討するための新たな研究パートナーシップの締結と、州による再生可能エネルギー証書(REC)の長期購入計画(注1)だ。
原子力関連では、州公共事業委員会(PSC)とウィスコンシン大学(UW)マディソン校(注2)の原子力工学・工学物理学部が協力し、州内における原子力発電の導入可能性を包括的に調査する。調査は2025年成立の州法第12条に基づき実施され(注3)、従来型原子炉に加え、小型モジュール炉(SMR)や先進技術、さらには核融合も対象とする。候補地の特性、規制・許認可要件、電力網への影響、地域経済への効果などを検証し、2027年初頭の完了を予定する。同州のエネルギー発電量の主な電力源は、天然ガスが約36%で首位、次いで石炭が約31%、原子力が約16%と、原子力が最も大きなクリーンエネルギー電力源となっている。
一方、再エネについては、州が今後20年間にわたり州内の電力会社・再エネ事業者から年間22万5,000件のRECを購入する計画を明らかにした。これは年間22万5,000メガワット時に相当し、州内の約50万世帯以上を賄う規模となる。
これらの施策は、2050年までに州内の電力需要を100%カーボンフリーとする目標の一環で、2022年に策定された「クリーンエネルギー計画」に沿ったものとなる。同計画は、エネルギーコストの低減、州外へのエネルギー依存の低減、2030年までに4万件超の雇用創出、先端産業・技術における職業訓練への投資などを目標としている。同州は今後もクリーンエネルギー分野を成長領域と位置付け、経済・社会双方の強化を図る方針としている。
ウィスコンシン州は、豊富な水源、冷涼な気候、シカゴ経済圏に近接しながら比較的安価で広大な土地、工学系大学が多くIT人材が雇用しやすい、データセンター向けの税制優遇措置(注4)の存在などの点が評価され、2024年以降、マイクロソフト、メタ、オープンAIなどの大手テック企業による大型データセンターの建設計画が相次いでいる。その結果、電力需要が急激に高まっており州のエネルギー政策の見直しが急務となっていた。直近では、マイクロソフトが2026年1月22日に、同州マウントプレザントに15カ所以上のデータセンターを増設する計画について地元当局から承認を得たと発表している。
(注1)REC購入費用は、州内の再エネ事業者に支払われるため、再エネ分野の新規投資や拡張を促すとされる。
(注2)同校は、全米でも数少ない教育研究用原子炉を保有している。
(注3)2025年7月に成立した州法第12条には、2025~27年にかけて200万ドルの資金を得て行う包括的立地調査が盛り込まれ(調査完了は2027年初)、第11条には、核融合を含む原子力技術の振興を目的とする「原子力サミット委員会」の設置が盛り込まれている。
(注4)2023年州法19条によって創設され、ウィスコンシン経済開発公社(WEDC)によって認定されたデータセンターは、認定日以降に税制優遇措置が適用される。認定を受けるには、一定額の投資が必要。優遇対象は、サーバー機器、電力・冷却設備、建設資材の購入で、州の売上税(Sales Tax)・使用税(Use Tax)が免除される。
(星野香織)
(米国)
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