米テキサス州の植物由来肉使用食品に対するラベリング規制に違憲判決
(米国)
ヒューストン発
2026年02月12日
米国テキサス州西部地区連邦地方裁判所は1月28日、テキサス州で2023年9月に施行された、植物由来肉(Plant-based meat)や培養肉(Cultured meat)を使用する食品を対象としたラベリング規制(SB664)が米国憲法修正第1条に反するとして同規制の執行差し止めをテキサス州政府に命じた。
同規制は、植物由来肉使用食品のパッケージ上に「類似体(Analogue)」「肉を含まない(Meatless)」「植物由来(Plant-Based)」「植物から製造(Made from plants)」などの表記を、培養肉使用食品のパッケージ上には「細胞培養された(Cell-cultured)」「実験室で培養された(Lab-grown)」などの表記を、製品名の直前あるいは直後に同等もしくはそれ以上のサイズのフォントで記すことを義務付けている。
法案可決当初、テキサス州議会による同規制の承認を受けて、テキサス州最大の農業団体テキサス・ファーム・ビューローは2023年5月にプレスリリースを発表。「肉製品と代替肉製品のラベルやパッケージは似ていることが多く、消費者のあいだで混乱を引き起こしている」として、「欺瞞(ぎまん)的なラベル」の問題を解決したテキサス州議会に謝意を示した。一方、植物由来食品「トファーキー
(Tofurky)」ブランドを有するタートル・アイランド・フーズ(注)は、同規制は動物由来肉使用食品に有利に働き、市場をゆがめるリスクがある点を問題視し、さらには表現の自由を含む米国憲法修正第1条にも抵触するとして、2023年8月、植物由来食品協会(Plant Based Foods Association)とともに連邦地方裁判所に訴えた。
同裁判所は、原告側の主張を全て認めた上で、植物由来肉メーカーによるラベルが消費者を誤認させている証拠はなく、同規制は「植物由来メーカーが消費者に正確な商業的言論を提供する権利を不当に制限しており、憲法修正第1条に反する」と判断した。また、たとえテキサス州では同規制がなくても、同州あるいは連邦レベルの既存の法律が消費者にとって誤りやすい(Misleading)ラベルの使用をすでに制限しており、かつ過去のさまざまな調査を検証する限り、消費者が植物由来肉使用食品と動物由来肉使用食品をきちんと特定できているという事実から、既存の諸法は機能しているとの見解を述べた。その上で、米国憲法に抵触しているテキサス州の同規制を恒久的に差し止めるとの判決を下した。
近年、テキサス州を含む米南部諸州では植物由来肉の名称使用を制限する動きが相次いでいたが、いずれも「商業言論規制」として連邦による司法審査の対象となった。その結果、アーカンソー州では2019年に「商業言論規制」として違法判決が下され、ルイジアナ州では「意図的誤認」の場合のみ適用に、ミズーリ州とオクラホマ州では植物由来肉製品には規制が適用されないとの司法判断が下り、これらの州の植物由来肉に対するラベリング規制は実質的に無効化されている。
(注)本社:オレゴン州フッドリバー。森永乳業が2023年2月に買収し、子会社化している。
(キリアン知佳)
(米国)
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