モロッコ政府、AI国家戦略に関する公式発表の式典を開催

(モロッコ)

ラバト発

2026年02月18日

モロッコ政府は1月12日、人工知能(AI)に関する国家戦略「IA Made in Morocco」に関する公式発表の式典外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをラバトで開催した。式典にはモロッコのAIおよびデジタル・エコシステムの発展に取り組む、各種政府機関、専門家、パートナーが広く出席したほか、オマール・ヒラル(Omar Hilale)モロッコ国連大使が出席した。同氏は同国がAIを「国際的発信力」「連帯」「南南協力による共通発展」を実現する手段として位置付ける姿勢を明確にした。

ヒラル大使は、同国家戦略について、(1)主権的AIの構築、(2)協力と多分野連携、(3)多国間外交の場でのAI領域におけるリーダーシップ確立の3つを主要柱としていると述べた。

第1の柱の「主権的AIの構築」では、2025年に導入されたモロッコ国産のクラウドがデータ主権を確保することで、アフリカ諸国に対し、外国テック大手企業への依存とは異なる選択肢を提示できる点を強調した。

第2の柱の「協力と多分野連携」では、南南協力の枠組みで地域ニーズに応じたAIソリューションを展開し、持続可能な開発目標達成を後押しする方針を示したほか、北側(先進国など)企業とのパートナーシップの進展も強調した。具体的には、フランスのMistral AIとのアラビア語および方言対応に関する合意や研究開発センターの立ち上げ、フランスのOnepointとのAIセンター設立、米国のオラクルおよび中国の華為技術(ファーウェイ)との連携強化、米国のオープンAIとの協議などがある。また、米国のエヌビディアがアフリカ事業計画でモロッコを優先対象としたという。

第3の柱の「多国間外交の場でのAI領域におけるリーダーシップ確立」では、モロッコが国連の持続可能な開発のためのAI友好国グループ(注)共同議長、アフリカ科学・イノベーション連合議長、国連総会南南協力ハイレベル委員会議長など、複数の国際枠組みで主導的役割を担っていることを挙げ、同国がグローバルサウスにおけるAI分野のリーダーシップを確立し、モロッコのAI国家戦略が国際機関で注目されつつあると述べた。

さらに、ヒラル大使は世界のAI情勢について、2025年の民間投資がすでに2,020億ドルを超える一方、AI人材の60%が米国に集中し、大部分の特許は中国が保有していると述べた上で、アフリカはデータセンター2%、投資1.5%と低水準にとどまる現状を指摘した。この格差の中でモロッコモデルは「倫理的・包摂的・主権型AI」としてアフリカ諸国の模範となり得ると述べた。また、デジタル格差が不平等を助長する現状において、モロッコは主権・開放性・連帯を結びつけ、アラブ・アフリカ諸国における公正な発展を促進する独自の道を切り開いていると主張した。

(注)モロッコと米国は2024年6月22日、国連において「持続可能な開発のためのAI友好国グループ(Friends of AI for Sustainable Development)」を正式に立ち上げた。このグループは、国連加盟国の間でAI活用の国際協力を促進し、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にAIを役立てることを目的としている。

(鈴木優香)

(モロッコ)

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