モルドバ唯一の国際河川港、国際輸送網の拡大を強みに投資を拡大、運営会社社長に聞く
(モルドバ、ウクライナ)
調査部欧州課
2026年02月19日
モルドバが有する唯一の国際河川港ジュルジュレシュティ港は、ウクライナやルーマニアとの国境が集まる同国南部に位置している(添付資料図参照)。黒海からドナウ川沿いに約130キロの地点にある同港は、ドナウ川による中欧へのアクセス、および黒海・地中海を経由して中央回廊や中東・アフリカ方面へのアクセスを確保する重要な物流拠点として注目される。ジェトロは、同港を管理・運営・開発する、オランダ資本企業のダヌベ・ロジスティクスのマティアス・フォン・トーチャー社長に話を聞いた(2026年2月4日)。
(問)国内外の輸送ネットワークについて。
(答)黒海に面するルーマニアのコンスタンツァ港とは、ドナウ川の内陸河川路とドナウ・黒海運河を通るルートと、スリナ港から黒海に出て南下する海上ルートでつながっている。港湾施設内には標準軌と広軌両方を備える鉄道ターミナルがあり、欧州およびウクライナなどの旧ソ連諸国双方への貨物輸送拠点として機能する。道路輸送路については、モルドバ南部から首都キシナウをつなぐM3高速道路が2026年4月ごろをめどに完成する予定だ。ルーマニア中部のトゥルグ・ムレシュからモルドバ西部のウンゲニまでを東西につなぐA8高速道路の建設も進んでおり、欧州との接続性の改善が期待される。
(問)取扱貨物とウクライナ情勢の影響は。
(答)取扱貨物量は年々増加傾向にあり、2025年は約200万トンと、2018年比で倍増した。取扱貨物の半分以上は穀物製品、次いで石油製品が多い。2022~2023年はロシアによるウクライナ侵攻でオデーサ港をはじめとする黒海の港湾が損害を受けたことにより、ウクライナの石油製品の輸入および穀物や植物油の輸出を支える機能を担い、2023年の貨物取扱量は約230万トンと過去最大となったが、2024年以降はほぼ平時の状況に戻った。ウクライナ復興に関する貨物の事例としては、ドイツからコンテナオフィスの部品がジュルジュレシュティ港までドナウ川の河川路で運ばれ、モルドバ北部で組み立てられたのち、同国およびウクライナでの販売が行われている。
(問)港湾施設内の設備と今後の投資計画について。
(答)港湾にはオイルターミナル、2つの穀物ターミナル、一般貨物・コンテナターミナルがある。敷地内のビジネスパークには倉庫設備の投資家や商社、オペレーターなどの50社が入居している。ダヌベ・ロジスティクスおよびその他の企業による同港湾への投資累計は約1億3,700万ドル。今後は、新ターミナルの建設やバース拡張や、国からさらに土地のリースを受け、ビジネスパークを拡大する計画などがある。
ドナウ川とジュルジュレシュティ港(ジェトロ撮影)
穀物の積み込みの様子(ジェトロ撮影)
(柴田紗英)
(モルドバ、ウクライナ)
ビジネス短信 83538ce8aac5858a






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