食品安全の新政令、混乱で貨物の滞留相次ぎ、運用を一時停止
(ベトナム)
ハノイ発
2026年02月13日
ベトナム政府は2月5日、食品安全管理の新政令(46/2026/ND-CP、以下、政令46号)をめぐる運用混乱を受け、同政令の適用を2026年4月15日まで一時停止することを決めた。 同政令は輸入食品の検査や管理方法などを規定するもので、2026年1月26日付で公布され、即日発効した。しかし、検査手続きの不明確さや検査体制の整備不足などにより輸入通関が混乱し、貨物の滞留が相次いでいた。
政令46号および食品の公表・登録に関する規定(66.13/2026/NQ-CP)は、食品安全管理に関する新たな法的枠組みとして、従来の食品安全管理の規定(15/2018/ND-CP、注1)を実質的に更新するかたちで公布された。
具体的には、これまでの製品情報の自己申告制度が廃止され、認証機関での検査結果を踏まえた技術規制適合の登録制度に移行することになる。管理対象も、食品や添加物だけでなく、包装材や食品と接触する工具などまで広げる。他方、食品安全の国家検査の地方政府への権限委譲を進める。
しかし、制度の詳細や運用方法に不明点が残ったまま政令46号が突然施行されたことに加え、発効前に出荷された商品にも新規則を適用したため、混乱が拡大した。現地報道によると、4つの業界団体が把握するだけでも、2月4日時点の滞留貨物は12万トン超に達していた(「ベトナムネット」2月6日)。
政令46号の一時停止措置により4月まで猶予期間は設けられたが、日本の食品を扱う輸入事業者は「当制度の施行により、従来問題がなかった商品の輸入が止まり、ビジネスに大きな影響が出た。法令の詳細が定まらない限り、同じトラブルが発生する不安は残る」と指摘する(ジェトロによるヒアリング、2月6日)。
ベトナムでは、新たな政策や規制などに関し、運用まで十分な準備期間がなく、行政や企業など関係者の体制整備が不足することで混乱が生じるケースが相次いでいる。
今回の政令46号をめぐる混乱を踏まえ、上述のベトナムネットでは「政策立案者には、予見性のあるロードマップの策定が求められる。試験運用による欠陥の確認も必要。突然かつ不透明な政策変更は、外国投資家にも国家の不安定さを印象付ける恐れがある」という識者のコメントを報じている(ベトナムネット2月6日)。
なお、日本産農林水産物・食品の対ベトナム輸出を支援する官民一体の枠組みであるベトナム輸出支援プラットフォームでは、政令46号に関する質問を含む、日本産食品の輸出に関する相談対応を行っている(注2)。
(注1)従来の輸入手続きの詳細は、ジェトロ「ベトナム 食品安全法の一部条項の執行を詳細に規定する政令(仮訳)」
(782KB)、同「ベトナム食品輸入早わかりフローチャート」
(1.1MB)を参照。
(注2)食品安全管理の新政令の詳細は、農林水産物・食品 輸出支援プラットフォーム(ジェトロ・ホーチミン事務所内、VNPF_Japanfood@jetro.go.jp
)まで連絡を(ただし、年度初めの相談対応は回答に1カ月程度時間を要する場合あり)。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
ビジネス短信 637316a21d4630b9




閉じる
