「サイバーテック・グローバル・テルアビブ2026」が開催
(イスラエル)
テルアビブ発
2026年02月24日
国際会議「サイバーテック・グローバル・テルアビブ2026
」が1月25~27日、テルアビブにて開催され、イスラエル国内外の政府関係者、研究者、サイバー企業、投資家らが参加した。27日の会議では、「AI(人工知能)の急速な進展」「量子時代の暗号リスク」「重要インフラ防衛」「産学官の協力強化」が主要テーマとして取り上げられた。
開会セッションでは、イスラエルのテック産業が依然として強靱(きょうじん)であることが示された。本会議議長のヨッシ・バルディ氏は、サイバー産業の成長を支える価値観として「競争しても互いに支え合う共同体性」を挙げ、イスラエルの技術的躍進はこうした文化に根差していると述べた。
サイバー攻撃トレンドについては、チェック・ポイントのセルゲイ・シュキエビチ氏が、AI生成の偽画像・音声を使った詐欺や誤情報が急増している現状を紹介し、「現実と偽物を区別すること自体が難しくなりつつある」と警鐘を鳴らした。さらに、企業環境で大規模言語モデル(LLM)に入力される機密データの量が急増している点にも言及した。
インフラ防衛については、アカマイ・テクノロジーズのシーン・ライオンズ氏が、AIを悪用した攻撃が最短42秒で開始可能である一方、組織側の侵害検知には80日以上かかるケースもあると紹介した。「可視化、観測性、即応性」が今後の防御の鍵であるとし、AI時代の対応スピード格差が決定的になりつつあると指摘した。
重要インフラの事例では、イスラエル最大の港湾アシュドッド港は、週10万件規模の攻撃を受けながら稼働を止めなかった経験を共有した。同港は120社超のスタートアップと実証実験を行い、一部の企業には出資も行うなど、港湾をイノベーション拠点へと変貌させている。
国家安全保障の視点では、イスラエル国家サイバー総局(INCD)のヨシ・カラディ局長が登壇し、2025年のサイバーインシデントが2万6,000件を超え、前年比55%増となったことを報告
した。「サイバーはもはや戦場そのものだ」と述べ、クラウド防衛、サイバーAI、量子コンピューティングを柱とした国家戦略
を策定したことを明らかにした。
「AI時代のサイバー」セッションでは、ウィズ最高技術責任者(CTO)兼共同創業者のアミ・ルトワック氏が、AIが攻撃側に「数時間で脆弱(ぜいじゃく)性悪用(エクスプロイト)を生成し、数分で攻撃可能とする『攻撃者優位』をもたらしている」と警告した。攻撃速度と規模の飛躍で「誰でも高度攻撃者になり得る」と述べ、対抗には自社環境の深い把握とインテリジェンスの活用によって、攻撃者より先に脆弱性や攻撃パスを特定する「防御者優位」の確立が不可欠だと強調した。
講演するウィズのルトワック氏(ジェトロ撮影)
(中溝丘)
(イスラエル)
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