米家具小売り大手ボブズがニューヨーク証券取引所上場、同業界では2014年以来の大型案件

(米国)

ニューヨーク発

2026年02月10日

米国家具小売り大手のボブズ・ディスカウント・ファニチャー(以下、ボブズ)は2月5日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)への新規株式公開(IPO)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを果たした。家具業界では、2014年に上場したオンライン小売りのウェイフェア以来、最大規模となる(注)。

米国証券取引委員会(SEC)の1月26日付の資料によると、1991年創業のボブズ(本社:コネチカット州マンチェスター)は、全米26州で200以上の実店舗を展開している。同社の特徴は、低価格路線のビジネスモデルで、価格は競合他社よりも平均して最大25%安い。低価格の維持を可能にしているのは、在庫最小単位(SKU)を競合他社の3分の1に絞り込むなどの厳選した商品戦略、長年にわたる仕入れ先との信頼関係、そして効率的なサプライチェーンだとしている。また、こうした取り組みが、価値を重視する消費者層からの長年の支持につながっている。

また同社は、サプライチェーンの安定化に向けて調達先の再編を進めている。第1次トランプ政権下の対中関税導入を機に、中国への依存度を大幅に下げ、現在はベトナムや米国内を主な調達拠点とすることで、関税リスクや供給網の混乱に左右されない体制を構築している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙2月5日付)。

同社のビル・バートン最高経営責任者(CEO)は、住宅市場の低迷や消費者が高額商品の購入をためらう状況下でも、同社はあらゆる所得層からの需要を確認していると述べた。特に近年は高所得世帯の顧客獲得が顕著で、顧客の約27%が年収15万ドル超を占めており、この所得層が最も急速に成長している顧客基盤であるという(「CNBCニュース」2月5日付)。

また、前出のSECの資料によれば、ボブズはIPOにより調達した資金を基に、2035年までに店舗数を現在の2.5倍以上となる500拠点超まで拡大する計画だ。ボブズは、米国のビジネス専門メディアCNBCへのインタビューの中で、既存の主力市場である中西部や東海岸での出店を強化するとともに、未開拓の市場への進出を加速させる方針だと説明している。

なお、米国調査会社ピッチブックによると、2025年のプライベート・エクイティ支援による消費・小売企業のIPOはわずか15件にとどまり、過去10年で最低水準を記録した。一方で、ゴールドマン・サックスは、輸入関税の影響による停滞に反発するかたちで、2026年に消費・小売業のM&AやIPOが増加すると予測しており、「2026年にIPOを控えている優良企業の数は2021年以来の多さだ」と分析している(「ロイター」1月17日付)。

(注)ピッチブックによれば、ボブズは今回、3億3,100万ドルを調達し、企業価値は約22億ドルと評価された。これに対し、ウェイフェアは2014年、3億1,900万ドルを調達し、企業価値24億ドルと評価された。

(樫葉さくら)

(米国)

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