米下院で食品GRAS監督強化の法案提出

(米国)

シカゴ発

2026年02月27日

米国のマイク・ローラー下院議員(ニューヨーク州、共和党)は2月3日、米下院で食品添加物の安全性自己認証制度「GRAS(一般に安全と認められる、Generally Recognized As Safe)」(注)の透明性向上と再検証を目的とした「GRAS監視・透明性法(GRAS Oversight and Transparency Act)」を提出した。同法案は、食品メーカーが過去に食品医薬品局(FDA)の審査や通知なしに自主判断でGRAS指定した物質のうち、特に2000年以前の未届け出GRAS物質を対象に、現在の科学的基準を満たすことを検証する枠組みを創設することが狙いだ。本法案が可決されれば、新設される委員会は全ての「対象GRAS指定物質」を審査することが義務付けられる。

法案では、保健福祉省(HHS)長官を筆頭に、FDA、農務省(USDA)、環境保護庁(EPA)など関係省庁の代表者に、食品毒性学の専門家および食品業界代表を加えたGRAS審査委員会を新設し、過去の企業が自主的に判断した認定について安全性審査を実施することとしている。同委員会は「対象GRAS指定」に該当する物質を特定し、優先度に応じて3段階に分類した上で審査を行う。安全性が確認できない場合、審査完了から90日以内に議会およびHHS長官へ報告する義務を負う。

また、食品製造企業には、法施行後90日以内に、同社が製造する対象GRAS物質を同委員会に申告する義務が課される。これにより、企業がFDAへ通知をせずにGRAS認定できた制度上の抜け穴を是正し、食品安全に関する連邦政府の監督機能を強化する狙いがある。

食品の安全性に関しては、FDAが2025年8月にGRASに関する情報収集のためのコメント募集案を行政管理予算局(OMB)へ提出するなど、制度自体に動きがみられる。また、各州でも合成着色料や食品添加物などについて、食品安全規制を強化しようとする傾向が広がっている。今回の法案成立により、連邦レベルでのGRAS監督が強化されれば、食品産業におけるコンプライアンス環境が大きく変化する可能性がある。

(注)GRASとは、長年の食経験や化学的な知見に基づき安全性が広く認知されている食品添加物について、FDAによる厳格な市販前承認プロセスを免除し、企業の自己認証により使用が可能となる制度。

(星野香織)

(米国)

ビジネス短信 5bb28c46027e62dc