「日本イスラエル・テック・ブリッジ・サミット」をテルアビブで開催
(イスラエル、日本、中東)
テルアビブ発
2026年02月20日
在イスラエル日本大使館は2月11日、サイバーセキュリティー、人工知能(AI)、医療を横断する「日本イスラエル・テック・ブリッジ・サミット」をテルアビブで開催し、日系企業や、イスラエルのスタートアップ、ベンチャーキャピタル(VC)などの約170人が参加した。
開会の際には、新居雄介・駐イスラエル日本大使のほか、イスラエル日本商工友好協会(IJCFS)名誉会長のギラッド・マジェロウィッツ氏、同協会新会長のノア・アッシャー氏、イスラエル経済産業省アジア太平洋部長のイブ・エルミシン氏が登壇し、実務的な交流と協業の加速を呼びかけた。
開会あいさつを行う新居大使(ジェトロ撮影)
基調講演では、レウミ銀行前会長のサメル・ハジ=イェヒヤ博士が、失業率、物価、成長率、債務指標、通貨シェケルの動向を示しつつ、地政学的緊張下でもイスラエル経済の基礎体力は維持されていると述べ、サイバーセキュリティー、応用AI、バイオ、ヘルスイノベーション、クリーンテックにおける協業の広がりを指摘した。さらに、インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)構想を念頭に、日本のフィジカル(物理)AI(注)、イスラエルのソフトウエアAI、湾岸協力会議(GCC)諸国のデータセンター基盤を組み合わせることで、東西接続の信頼性の高める新たな経済圏の創出が可能と展望した。
続いて、スタートアップ・ネーション・セントラルのヤリブ・ベッヒャー氏が、イスラエルのテックエコシステムを概観した。同国内には7,200社を超える技術系企業が集積し、テック企業はGDPの約2割、税収の3割超、輸出の約6割を担う現状を説明した。AIは応用統合で強みを発揮し、自動車、医療、アグリフーズ、フィンテックなどでデータ中心の意思決定自動化が進んでいる。また、400社を超える多国籍企業がイスラエルに研究開発拠点を構え、国際連携の受け皿も厚いと説明した。イスラエルの俊敏な開発力と日本の品質・制度設計力は補完的で、協業余地は拡大していると結んだ。
サイバー分野では、イスラエル国家サイバー総局(INCD)前局長のイガル・ウンナ氏が、AIと量子計算の急速な発展によってサイバー攻撃の力が拡大している現実を強調した。同氏は、既存暗号が失効し得る「Qデー」に備えた量子耐性暗号への移行、サプライチェーン強靱(きょうじん)化、偽情報対策を喫緊の課題に挙げた。
パネルでは、イスラエルのサイバー産業が世界的優位を築いた背景として、密な人的ネットワークと実践的な問題解決力が語られ、AIの実装事例として建設、医療、半導体における具体的事例が示された。メディカル・イノベーションでは、日・イスラエルの協業経験を持つパネリストから、日本のボトムアップ型意思決定や医薬品医療機器総合機構(PMDA)における厳格な文書要件などの知見が共有された。
(注)物理世界で動作するロボットや機器にAIを適用し、自律的な認識・判断・制御を行う技術分野。
(中溝丘、アリサ・ノスキン)
(イスラエル、日本、中東)
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