新たなシドニーフィッシュマーケットが開場、水産物流通と食文化の拠点に
(オーストラリア)
シドニー発
2026年02月06日
オーストラリアのニューサウスウェールズ(NSW)州政府が再開発を進めてきた新たなシドニーフィッシュマーケットが1月19日、シドニー中心部に近いブラックワットル湾にオープンした。州政府は、新市場を水産物の流通、観光、食文化体験を融合した、新たなランドマークとして位置付け、旧市場の約2倍となる年間600万人超の来場を見込んでいる。
新市場は、1966年に開場した旧市場の隣接地に建設された。波がうねるような象徴的な屋根のデザインに加え、省エネルギー性の高い設備や水の再利用システムを導入するなど、環境に配慮した設計が特徴だ。400基を超える魚鱗(ぎょりん)模様のソーラーパネルを設置し、建物の1日当たりのエネルギー使用量の最大5%を賄うなど、ネットゼロを見据えた持続可能な施設運営を目指している。施設内には、旧市場の約2倍となる小売りスペースを確保し、40店舗以上の小売店や飲食店、魚介卸売業者が入居する。飲食エリアでは、ウォーターフロントの景観を生かし、新鮮な魚介を使った寿司(すし)や海鮮丼、ラーメン、浜焼きなど、幅広い日本食を含む多様な料理を提供する店舗が展開されている。
一方、卸売市場や競り場といった中核機能も維持され、水産物流通の基盤としての役割と、一般来場者が見学できる開放性を両立した構成となっている。さらに、体験型施設として「シドニー・シーフードスクール」も併設し、著名シェフによる料理教室やデモンストレーションを通じ、地元住民や観光客に向けた食文化発信の場としての機能も担う。
シドニーフィッシュマーケットのチーフオペレーションオフィサーのアダム・ムラド氏は、ジェトロの取材(2026年1月28日)に対し、「旧市場は、開場から50年以上が経過し、老朽化により設備面で限界があった。新施設は水産物の品質維持を最優先に考えた環境を提供している。これにより、より高い収益性と事業成長が可能になる」と述べた。また、競り場の温度管理に加え、生きた甲殻類・魚に対応するため温度管理された水槽、輸出認定施設の整備により、水産物の鮮度維持や輸出対応力が大きく向上した点も強調した。今後、東南アジアを中心に輸出市場を開拓していく予定だ。
市場周辺のブラックワットル湾地区では、同市場を核とした都市再開発が進む見通しだ。旧市場跡地には、1,400戸を超えるウォーターフロント住宅や公共空間の整備が計画されており、海岸遊歩道の延伸、ライトレール、フェリーアクセスの強化などを通じて、交通利便性と居住環境の向上が見込まれている。
新シドニーフィッシュマーケットの外観(シドニーフィッシュマーケット提供)
公開式競り場の様子(シドニーフィッシュマーケット提供)
(ストーリー愛子)
(オーストラリア)
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