米量子技術ハブのコロラド州にミッション派遣、量子コンピュータ開発企業や大学を視察

(米国)

ロサンゼルス発

2026年02月19日

ジェトロは1月27~29日、米国で量子技術関連の企業や研究機関が集積するコロラド州に日本企業による視察団(ミッション)を派遣した。量子分野のビジネス拡大を目指す日本企業18社から21人が参加し、現地企業や大学の関係者らと交流した。

コロラド州とニューメキシコ州、ワイオミング州では、州政府や量子技術分野の企業・団体が地域コンソーシアム「エレベート・クオンタム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を設立し、量子技術の商用化などを推進している。同コンソーシアムが主導する取り組みは2023年に始まった連邦商務省の「テックハブ」プログラムで、量子情報技術に関する唯一のハブとして指定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされている(2024年7月3日記事参照)。エレベート・クオンタムのジェシー・オルセン最高財務・執行責任者によると、コロラド州にはスタートアップを含む量子関連企業が60社以上存在し、同州の量子分野の直接雇用者数は3,600人以上と他州を大きく上回るという。

今回のミッションは量子関連企業として、量子コンピュータに使用される極低温インフラを開発するメイベル・クオンタム・インダストリーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Maybell Quantum Industries、本社:コロラド州デンバー)と、中性原子を利用した量子コンピュータを開発するアトム・コンピューティング外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Atom Computing、本社:カリフォルニア州バークレー)を訪問した。アトム・コンピューティングのレミー・ノーターマンス氏は、連邦エネルギー省傘下のロッキー国立研究所〔NLR、旧国立再生可能エネルギー研究所(NREL)〕と共同で、送電網の故障時の対応シミュレーションに量子コンピュータを利用する実証実績や、マイクロソフトとの共同開発の見通しを説明した。同社が量子コンピュータの製造地としてコロラド州を選んだ理由については、サプライヤーの集積や地元大学などから供給される人材の採用しやすさなどを挙げた。

写真 事業内容を説明するアトム・コンピューティングのノーターマンス氏(ジェトロ撮影)

事業内容を説明するアトム・コンピューティングのノーターマンス氏(ジェトロ撮影)

ミッションは、コロラド州の量子技術産業を支える教育・研究機関も視察した。コロラド鉱山大学では、コンピュータサイエンス学部と物理学部の学部長らが、各学部の量子関連プログラムなどを紹介した。同大学は20261月に、全米で初めて量子システムエンジニアリングの学士課程を立ち上げる計画を発表している。コロラド大学ボルダー校では、学部横断の「CUbit量子イニシアチブ」による産業界との連携やスタートアップ育成の取り組みについて聞いた。そのほか、レーザー技術の研究で強みを持つコロラド州立大学や、連邦商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)のボルダーキャンパスを訪れ、研究者らから研究内容に関して説明を受けた。

写真 コロラド鉱山大学で説明を受けるミッション参加者(ジェトロ撮影)

コロラド鉱山大学で説明を受けるミッション参加者(ジェトロ撮影)

ミッション参加者からは、「コロラド州の量子エコシステムと研究基盤を直接確認でき、将来的な新市場開拓の材料となった」「州内の各大学が量子分野のカリキュラムを提供している点は全米でも稀有(けう)。将来の人材確保と事業拡大を検討する上で有益な判断材料となった」など、同州での具体的なビジネス機会の可能性を評価するコメントが聞かれた。

(堀永卓弘、甲斐野裕之)

(米国)

ビジネス短信 311e0af243a620bf