インド電子産業協会、タミル・ナドゥ州電子産業レポートを発表
(インド)
チェンナイ発
2026年02月27日
インド電子産業協会(ELCINA)は2月10日、「タミル・ナドゥ(TN)州電子産業レポート」を発表した。同レポートでは、世界のサプライチェーンについて、多くの企業が脱中国、他国への分散化を進めており、インドなどの代替生産地が生まれていると指摘した。成長分野として、スマートフォン、民生用電子機器、車載電子機器、産業用電子機器、電子部品を挙げた。また、インド国内における電子市場については、消費者需要の増加やデジタル化の進展、政府の取り組みを背景に、2031年には5,000億ドルに達すると予想した。
インド南部TN州の電子産業については、2023年度(2023年4月~2024年3月)のインド全体の電子産業の総販売額の28.6%を占め、北部ウッタル・プラデシュ州(32.3%)に次ぐ2位とし、TN州の電子製品の輸出額は、2021年度の18億6,000万ドルから2024年度は146億5,000万ドルに拡大していると指摘した。
TN州の強みは、州都チェンナイやスリペルムブドゥール、ホスール、コインバトールなどに産業集積があること、港湾インフラとそのネットワークが強いこと、熟練労働者が潤沢に存在することに加えて、TN州が先進的な政策を導入していることを挙げている。他方で弱みは、他州や他国と比較して電力料金が高いこと、世界の先進的な電子産業の中心地と比較して研究開発投資が少ないことを指摘し、ハイエンド製品の製造と設計分野に、より強固なエコシステムが必要と指摘している。
今後、注力すべき分野には、半導体、電気自動車(EV)向け電子部品、民生用電子機器などを挙げた。具体的には、半導体は、世界的な半導体不足を機会と捉え、インド政府の政策(インド半導体ミッションの設置など)を活用し、半導体製造設備、半導体後工程の一貫製造やATMP(注)施設、設計センターを誘致することとした。また、EV向け電子部品は、TN州内に存在する強力な自動車産業基盤を活用したEV向けバッテリー管理システム、モーターコントローラー、パワーエレクトロニクス分野を挙げた。民生用電子機器ではスマートフォンやウェアラブル機器などを、電子部品では受動部品やコネクター、プリント基板(PCB)製造のための地域エコシステムを構築すべきと指摘している。
TN州政府が導入すべき政策については、投資補助金や税優遇、電気料金に対する補助金など他州や他国よりも有利な優遇措置の提供のほか、専用の研究開発センターの設立、電子産業に対する助成提供や教育機関との連携を挙げた。さらには、半導体などの先進的な電子製品や部品の製造に必要な熟練技術者のトレーニングプログラムの導入や電気料金の削減を提案している。
ELCINAとしては、TN州における電子産業振興のために(1)電子産業振興機関の設立、(2)半導体テクノパークの設立、(3)タミル・ナドゥ・エレクトロニクスブランドの設立、(4)最先端の検査・認証センターへの投資を提言した。
インド政府は現在、半導体産業の誘致を進めているが、誘致先はナレンドラ・モディ首相とゆかりのある西部グジャラート州が注目されている。一方で、TN州でも台湾の鴻海精密工業傘下のフォックスコン、地場大手財閥タタ・グループなどがスマートフォンを製造しており、産業集積が進んでいる。
(注)組み立て、テスト、マーキング、パッケージング。
(白石薫)
(インド)
ビジネス短信 249c046fd35b61b8






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