シリアで新通貨導入とデノミ実施、金融制度の近代化と信頼回復目指す

(シリア)

カイロ発

2026年01月06日

シリア中央銀行は2025年12月25日、2025年政令293号に基づき2026年1月1日から新通貨を導入すると発表した。12月29日には、シリア暫定政府のアフメド・アル・シャラア大統領が新シリア・ポンドの発行とデノミネーション(通貨単位変更)の実施を正式に発表するとともに、旧紙幣の段階的な交換を保証し、移行期間における冷静な対応を呼びかけた(シリア国営通信「SANA」12月29日付)。

SANAによれば、新紙幣は1月1日から旧紙幣と無料で交換され、旧紙幣と新紙幣には90日間の併用期間が設けられる。旧シリア・ポンド100単位が新シリア・ポンド1単位に交換されるデノミネーションが実施され、銀行残高は2026年初に新通貨に換算されるという。新通貨は5、10、25、50、100、500ポンドの6種類発行される。アル・シャラア暫定大統領、シリア中央銀行および関係閣僚は、新通貨導入の理由について(1)現金取引の効率化、(2)紙幣の摩耗問題の軽減、(3)紙幣の保管・輸送コストの削減、(4)シリア・ポンドへの信頼回復とドル依存軽減、と説明している。また、今回のデノミネーションによって通貨の流通量は変わらず、通貨の価値を変えるものではないと強調した。1月5日時点の新シリア・ポンドの対米ドル為替相場は、シリア中央銀行の公定レートでは1ドル=111.00シリア・ポンド、並行市場では1ドル=119.70シリア・ポンドとなっている。

また、1月4日付SANAは、シリア中央銀行が欧州中央銀行に倣(なら)った「キャッシュ・フィットネス・スタンダード」を導入すると報じた。銀行券の流通に関して、折り目や破れなど流通可能な紙幣の物理的状態に基準を定め、現金取り扱いの透明性とセキュリティの向上を目指す。中央銀行は現金管理の近代化と通貨への信頼強化の一環であると説明した。シリア当局は一連の通貨刷新について、「金融制度の近代化と信頼回復を目指す国家プロジェクトだ」としつつも、「実質的な経済成長は生産の増加、失業率の低下、銀行部門の安定など具体的な改革が必要だ」と指摘した。

(塩川裕子)

(シリア)

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