UAEのアメア・パワー、チュニジアで大型太陽光発電所を開設

(チュニジア、アラブ首長国連邦)

パリ発

2026年01月16日

最大出力120メガワット(MW)のメトバスタ太陽光発電所が2025年12月16日、チュニジア中部ケルアン州で稼働した。再生可能エネルギーによる発電所として、100MWを超えるのは同国初となる。2019年に国際入札で落札した、アラブ首長国連邦(UAE)の再生可能エネルギー開発企業アメア・パワー(AMEA Power)が、独立系発電事業(IPP事業)として、発電所施設の建設・運営からチュニジア電力・ガス公社(STEG)への電力販売までを一貫して行う。開所式には、チュニジアのファトマ・タベット・シブーブ産業・鉱山・エネルギー相、STEGのファイカル・タリファ最高経営責任者(CEO)、アメア・パワーのフセイン・アル・ノワイス会長などが出席した。

メトバスタ発電所は、チュニジア初となるループイン/ループアウト構成(注)を採用した統合変電所を備え、電力は再生可能エネルギーによる発電では初めて、STEGが運用する225キロボルト(KV)の高圧送電網に直接供給される。約4万3,000世帯の電力供給に相当する年間約222ギガワット時(GWh)のクリーン電力を発電し、年間推定1万7,000トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減することが期待されている。同プロジェクトは世界銀行グループの国際金融公社(IFC)とアフリカ開発銀行(AfDB)の資金提供により実現した。

チュニジアのエネルギー自給率は、2010年の93%から2025年10月時点で35%まで落ち込んだ。これは、国内の石油およびガスの生産量の年間7%の減少に加え、国内エネルギー消費の年間2%の増加、それに伴う海外(特にアルジェリア)からのエネルギー輸入の増大による。また、チュニジアの電力構成は、天然ガスへの依存度が97%を占めている。この状況を改善するため、チュニジア政府は2030年までに発電量の35%を再生可能エネルギーで賄い、CO2排出量を2035年までに46%削減する目標を掲げている。この実現のため、2018年に民間資金による再生可能エネルギープロジェクト開発のための第1期コンセッション契約(大型IPPプロジェクト)が締結され、ケルアン州(今回稼働したメトバスタ発電所120MW)、タタウィン州(200MW)、トズール州(50MW)およびシディ・ブジッド州(50MW)(2024年9月27日記事参照)、ガフサ州(100MW)の5州で計520MWの太陽光発電プログラムが進行中だ。

2025年11月に世界銀行とチュニジア政府は、エネルギー部門の近代化支援プログラム「チュニジアのエネルギー信頼性・効率性・ガバナンス改善プログラム(TEREG)」に関する資金協定を締結した。世界銀行の気候投資基金からの3,000万ドルの優遇融資を含む総額4億3,000万ドルの予算を有する同プログラムは、5年間にわたり、持続可能で信頼性が高く、かつ手頃な電力供給の構築を目指す。再生可能エネルギーの導入の加速とSTEGの業績強化により、エネルギー部門全体のガバナンス改善に寄与することを目的としている。

(注)ループイン/ループアウト(LILO)構成とは、既存の送電線を中断せずに変電所や負荷センターに電力を供給するための特殊な配電・送電システムの配置のこと。

(渡辺智子)

(チュニジア、アラブ首長国連邦)

ビジネス短信 e1b16115602df4b7