インド、2026年最初の宇宙ミッションは失敗、ISROは原因究明を急ぐ

(インド)

調査部アジア大洋州課

2026年01月20日

インド宇宙研究機関(ISRO)は2026年最初の宇宙ミッション「PSLV-C62/EOS-N1 Mission」を1月12日に実施した(添付資料参照)。インド南部アンドラ・プラデシュ州(AP)州のスリハリコタにあるサティシュ・ダワン宇宙センター(SDSC-SHAR)の第1発射台から「PSLV-C62」ロケットを打ち上げた。しかし、機体は第3行程(全4行程)で異常を来したことで衛星を放出できず、メインペイロード(注1)の「EOS-N1」を含む全16機の衛星・カプセルが喪失した可能性が高いと現地紙は報じている(「フィナンシャルエクスプレス」1月12日付)。ISROは、直後にデータ解析を開始し詳細委員会を設置するとともに、原因を究明すると述べている。

今回のミッションでは、インド国防研究開発機構(DRDO)が開発した高度ハイパースペクトル観測衛星で、メインペイロードの「EOS-N1」とコ・ペイロード(注2)14基、加えてスペインのスタートアップ企業「オービタル・パラダイム(Orbital Paradigm)」が開発した技術実証カプセル「KID(Kestrel Initial Technology Demonstrator)」の放出を予定していた。PSLV-C62は初めに、「EOS-N1」とコ・ペイロード14基を太陽同期軌道(注3)へ放出、その後KIDを再突入軌道(注4)へ分離する計画だった。「EOS-N1」は、インドの宇宙監視能力を強化するために設計された地球観測衛星で、環境変化の追跡、天然資源のマッピング、災害時の支援など、さまざまな用途に広く活用が可能だ。また、PSLV-C62ロケットにはブラジルやネパール、スペインなど他国の衛星も搭載しており、当ミッションが成功すれば、インドの宇宙事業開発の発展とともに国際的な宇宙ビジネスの拡大につながる可能性も秘めていた。

今回の失敗で深刻なのは、2025年5月18日に打ち上げ失敗に終わったPSLV-C61ロケットと同様のトラブル(第3行程でのトラブル)が連続で発生した点だ。これまで、PSLVは1993年の初回から計63回打ち上げてきたが、失敗は3回のみと高い成功率を誇っていた。今回の打ち上げは、2026年の宇宙開発事業の幕開けであると同時に、ISROの体制改善が求められる結果となった。

(注1)ロケットが打ち上げる複数の搭載物の中で、主目的となる衛星・探査機・機器。

(注2)相乗りする追加衛星。

(注3)地球観測衛星などが利用される特殊な低軌道(Low Earth Orbit)の一種で、衛星が地球を回るたびに、軌道上の位置が太陽に対して同じ角度になるよう設計された軌道。

(注4)宇宙空間を飛行していた衛星が、地球大気圏へ再び突入するために取る軌道。

(野本直希)

(インド)

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